NXPは、embedded worldに合わせて幾つか新製品を発表した。
まず、ARMの「Cortex-M4F」コアを搭載したマイコン「LPC5411x」だ。オプションとして、「Cortex-M0」をコプロセッサとして搭載することもできる。NXPのBusiness Line MicrocontollersでSr. Product Marketing Managerを務めるCarmelo Sansone氏は、「消費電流が80μA/MHzと、(Cortex-M4コアを搭載している)競合品に比べて低いのが特長だ」と述べる。さらに、ニーズが高まっている音声認識技術も搭載し、ウェアラブル機器やスマートホーム用家電など、音声認識をすぐに実現できる開発ボードも用意した。
さらに、64ビットのARM「Cortex A53」コアを搭載したネットワークプロセッサ「QorIQ LS1012A」も発表した。外形寸法が9.6×9.6mmと、「64ビットARMコアベースのプロセッサとしては、世界最小である」とBridgwater氏は説明する。QorIQ LS1012Aは、Cortex A53の他、ハードウェアアクセラレータやセキュリティエンジン、2.5Gビットイーサネット、PCI Express、SATA3、USB 3.0を搭載している。しかも、消費電力はわずか1Wだ。ターゲット市場は、ルーターやネットワークストレージ、ホームオートメーションなどである。
この他、IoT機器向けの小型モジュール「SCM(Single Chip Module)」の最新製品である「SCM-i.MX6Dual」も紹介した。SCMは、プロセッサやパワーマネジメントIC、フラッシュメモリ、オシレーターなど109個の個別部品を1パッケージに搭載したもので、旧Freescaleが開発してきた製品である。SCM-i.MX6Dualは、2015年のFTFでも紹介された。そのサイズは17×14mmと、2米セント硬貨よりも小さい。NXPのSystem Solutions ProductsでVice Presidentを務めるNancy Fare氏は、「SCMは、プロセッサやメモリ、電源など設計に手間がかかる部品を1パッケージに搭載していることで、開発期間を平均で約25%短縮することができる」と述べる。
Fare氏は、ここでもNXPとFreescaleのシナジーが生きると強調する。同氏は「SCMの特長の1つは、既に実証済みのシリコンを、ブロック玩具のように組み合わせてパッケージングしている点だ。NXPと合併したことで、今後は旧NXPの実証済みシリコンも自由に組み合わせることができるようになる。ブロック玩具の部品が増えるということは、実現できる機能もそれだけ増えるということだ」と説明し、将来的なSCMでは、より多くの機能を、セキュリティ機能も強化しつつ搭載し、より細かいニーズに応えられるシリーズをラインアップすることが可能だと述べた。
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