今回の模擬訓練は、固定設置型のルーターだけでなく、スマホ用のルーター(モバイルWi-SUNルーター)と見守りアプリを活用したという。スマホは、インターネット接続とGPS機能を標準装備しているため、アプリサーバと連携することで、近隣の捜索協力依頼情報を自動的に受け取ることができる(図1)。
モバイルWi-SUNルーターでビーコンを受信した際、その情報が捜索対象者のものかどうかを自動判別して、アラートとして表示することも可能である(図2)。
EE Times Japanでは、神崎町社会福祉協議会に模擬訓練の成果を聞いた。神崎町社会福祉協議会によると、もともとNTT東日本と「テレビ電話を使った買い物支援」を行っており、高齢者支援にICTをもっと活用できないかという思いが、訓練の背景にあった。
担当者は、「認知症などで徘徊をする高齢者に何より必要なのは、直接“声をかけてあげること”。それだけで、消息が不明になったり、命を失ったりすることが減少するだろう。しかし、なかなか直接声をかけるのには戸惑ってしまう。ICTを活用することで、少しでも“声をかけること”につながればと思い、今回の模擬訓練に至った」と語る。
訓練の成果としては、歩いているときに、検知された捜索対象者役の情報がスマホに音で通知されるため、捜索協力者が「近くにいるから探してみよう」と行動に移る様子が見られたという。課題としては、「年数が経てば慣れると思うが、年配者の中には、スマホのアプリを操作することに戸惑う人も多かった」と語った。
今回用いたWi-SUNを活用した見守りシステムに関して、NTT東日本の千葉事業部によると「他の地域での活用などは現時点でなく、今後の展開も不明である」とした。
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