半導体市場では、かつてはプロセッサが半導体市場をけん引する主要素だったが、現在は車載/IoTアプリケーションとシェアを二分している。VLSIイベントの基調講演でも、日産自動車のエグゼクティブエンジニアによる自動運転の電気自動車についての講演、InvensenseやQualcomm、ソニーの各社がセンサーやロボティクス、映像機器について講演する。
基調講演のテーマを見ると、同イベントが高密度で高速なコンピュータチップに注力していた時代から変化していることが分かる。Jammy氏は、「IoTやビッグデータ、スマートカーは、RF、ミックスドシグナル、デジタル、パッケージング技術といった最新技術の統合に重きを置いている」と説明している。
「Circuits Symposium」では、Intelが2つの14nmデバイスを紹介する。1つは、32ビットのx86プロセッサを使った、IoT向けの環境発電ワイヤレスセンサーだ(「Quark」の1種か)。これは、しきい値電圧付近で動作するとしている。もう1つはデータセンター向けのチップで、350〜900mVで動作する、正規表現パターンマッチ用のアクセラレータ(動作周波数が2.1GHz)の詳細を発表する。
「Technology Symposium」では、新しい材料やゲート構造に焦点が当てられる。Samsung Electronicsは、10nm FinFETプロセスについて、ほぼ初めて説明する予定だ。IBMは、高電子移動度のSiGe(シリコンゲルマニウム)チャンネルを使った10nm FinFET技術を紹介する。
この他、5nmプロセス以降を使ったFinFETに関する発表も幾つかある。TSMCは、直径12〜15nmのInAs(ヒ化インジウム)ナノワイヤをゲート電極で取り囲むGate-All-Around(GAA)構造について発表する。ベルギーのKU Leuvenは、InGaAs(インジウム・ガリウム・ヒ素)ナノワイヤを使ってトランジスタ性能を大幅に向上する技術を紹介する予定だ。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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