情報通信研究機構(NICT)は、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2016」で、ドローンなどを確実に遠隔制御するための多段中継型ワイヤレスネットワーク「タフ・ワイヤレス」技術を紹介した。
情報通信研究機構(NICT)は、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2016」(2016年5月25〜27日、東京ビッグサイト)で、遅延時間を保証することで飛行型ロボット(ドローン)などを確実に遠隔制御するための多段中継型ワイヤレスネットワーク「タフ・ワイヤレス」技術を紹介した。
タフ・ワイヤレス技術は、災害時などにおけるドローンや無人地上走行ロボットなどの遠隔制御を想定している。操縦者と飛行するドローンの間に電波を遮蔽するビルや物体などがあれば、飛行している別のドローンなどを中継局として活用し、「切れないワイヤレス通信」を実現しようというもの。ブースでは、ドローンへの実装を想定したセンサーモジュールを用意。内蔵されたジャイロセンサーなどの情報を、タフ・ワイヤレス技術に対応したデモシステムでPCに送信し、姿勢制御の情報などを画面に表示した。
タフ・ワイヤレスに対応した無線装置の仕様は、利用周波数帯が920MHz、送信電力は20mW未満、伝送速度は最大約100kビット/秒である。飛行中のドローンを必要に応じて中継局として利用することで、最適な無線経路で飛行中のドローンや地上にいる無人走行ロボット/建機などの端末を遠隔制御することが可能となる。周波数ホッピング技術により耐干渉性の向上も図った。
さらに、タフ・ワイヤレス技術の大きな特長の1つは、伝送遅延時間を保証したアクセス制御を採用したことだ。ロボットや機械制御などには欠かせない技術である。「伝送遅延時間は伝送速度とトレードオフの関係にあるが、最大40〜200ミリ秒で設定できる。伝送速度が100kビット/秒における伝送遅延時間は100ミリ秒となる」(説明員)と話す。
実用化時期については明確にしなかったが、今後の開発計画として、複数周波数帯への対応なども検討していくという。
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