レアメタル不要の共融系二次電池を開発:正極側に電解液兼ねる液体の活物質を適用(2/2 ページ)
一方で、課題も見つかった。充放電試験は、40℃、25℃の両環境で実施し、温度の低い25℃の場合、充電時と放電時の電圧差がより大きくなることが判明。また、3サイクル目の充放電特性をみた場合にも、40℃では理論容量の97%まで放電電流量が得られたが、25℃の場合は60%にとどまり、低い温度で特性が劣ることが分かった。
25℃と40℃で測定した3サイクル目の充放電特性 出典:産業技術総合研究所
縦軸は充放電時の電池の電圧である。電池に用いられる活物質の量から、電池容量の理論値が計算されるので、その値を1に規格化して表示したのが横軸の下側である。この充放電特性の測定は、0.5mA/cm2という一定の電流密度で行っているため、充放電の電流量と要した時間が比例関係にあり、その時間を横軸の上側に示してある。図中の2つの曲線のうち、下側が放電時のもの、上側が充電時のものである。赤色が40℃、青色が25℃の場合で、温度が高い場合は理論容量の97%まで放電電流量が得られたが、温度の低い場合は60%にとどまった。
産総研では今後、「負極側にも共融系液体を用いた全共融系型二次電池を含め、優れた性能を示す実用的な共融系電池の開発を推進する」としている。
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