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Atmelの元従業員、Microchipに異議を申立てまだ残る“不満分子”

Microchip TechnologyによるAtmel買収は、すんなりとは終わらないようだ。退職金や解雇などをめぐり、募った不満は、まだくすぶり続けている。

» 2016年06月27日 10時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]

まだ残る“不満分子”

 Microchip Technologyは、同社によるAtmelとMicrelの買収に対する反対意見をほぼ抑えた。だが、3社には、わずかながらまだ“不満分子”が存在しているようだ。

 かつてドイツ ドレスデンに拠点を置いていたAtmelの研究チームのメンバーらは、Microchipが彼らを解雇したのは誤った判断だったとしてMicrochipを告訴している。一方、Atmelの米国の従業員もAtmelから約束されていたとする退職金を求めている他、中国 上海では従業員が解雇に異議を申し立てた。

 Microchipは、Atmelが約束していた退職金のうち半分を既に支払ったが、2016年初めの買収以前に失効していた申し出について、Atmelから誤って伝えられていたと主張している。Microchipは法的訴訟に絡むケースが1つあるとして、最近の動きに関するコメントを避けた。

 ドレスデンの労働裁判所は、Atmelの元従業員39人の訴えを審理する予定だ。主な審理は2016年11月に行われるという。ドレスデンの研究チームのあるメンバーは、「Atmelは過去に、ドイツで解雇された従業員に対し1.2カ月分の給与に相当する手当を支払っていた」と匿名で明らかにした。

 ドレスデンの労働裁判所は既に和解協議を行ったものの、Microchipから譲歩を全く引き出せないまま終わったという。裁判官はMicrochipに対し、ドレスデンの研究チームを解散させた理由を2016年9月9日までに説明するよう求めた。

 MicrochipによるAtmel買収から2週間後の2016年4月18日、ドイツ ハイルブロンに拠点を置くAtmel Automotiveのマネージングディレクターがドレスデンの拠点を訪れ、同拠点を2016年5月4日に閉鎖する予定であることを伝えた。

 ドレスデンの従業員らは、Microchipが閉鎖の決断を下す前に、時間をかけて研究チームの役割や実績を評価しなかったと主張している。ドレスデンの研究拠点は、自動車設計に取り組むために2002年1月に開設された。その後、Wi-FiやZigBee向けのワイヤレスチップの開発に取り組む約45人のエンジニアを抱えるようになった。

 ドレスデンの拠点は、IEEE 802.15.4に対応する製品の設計業務の中心地となった。ドレスデンの研究所に勤務していたエンジニアは、「MicrochipのIEEE 802.15.4対応製品のポートフォリオは最新のものではない。Atmelの製品の方がより高度であり、規格の改訂版にも準拠している」と述べた。

 ドレスデン研究所のエンジニアは、2016年5月4日にMicrochipのCEO(最高経営責任者)であるSteve Sanghi氏が金融アナリストに対して行ったカンファレンスコールの記録について言及した。記録によると、Sanghi氏はカンファレンスコールの中で、「Atmelは7カ所の設計センターを中心に、極めて小規模なワイヤレス事業を運営していた。7カ所のうち、極めてコストが掛かるドイツにある1拠点を閉鎖した」と述べていた。

元Micrelの従業員が、Atmelの上海オフィスの前でデモを行っている(写真提供:Atmelの元従業員)

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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