新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、太陽光発電の遠隔出力制御システムの開発に着手する。再生可能エネルギーを最大限活用した電力系統の安定運用を実現していく。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2016年6月、太陽光発電の遠隔出力制御システムの開発に着手すると発表した。再生可能エネルギーを最大限活用した電力系統の安定運用を実現していくのが狙い。
今回の研究においては、さまざまな太陽光発電設備に対して、きめ細かな出力制御を可能とすることで、電力系統の安定運用を行うためのシステム開発を行う。再生可能エネルギー固定価格買取制度の省令改正(2015年1月)によって、新たに系統連系する太陽光発電と風力発電などのシステムに対して、遠隔出力制御システムの取り付けが義務付けされた。このことが開発事業を行うきっかけとなった。
これまでNEDOは、風力発電など再生可能エネルギーの普及拡大に向けて、出力変動に対応する電力系統関連の技術開発を行ってきた。今回は、大規模システムから家庭向け小規模システムまで、さまざまな規模の太陽光発電設備を対象としており、通信回線を用いて出力制御を行う遠隔出力制御システムの開発及び実証試験を行う。
具体的には、電力会社の中央給電指令所などで、地域内に分散している太陽光発電設備の発電出力を把握。この数値を踏まえて出力制御するための機器や、発電出力管理に必要となるシステムの実証試験を行う予定である。システムは、経済産業省の新エネルギー小委員会で策定された、双方向/単方向通信方式による遠隔出力制御システムの要求仕様に基づき開発する。また、出力制御の公平性と運用実行性を確保するために、系統運用者側で用いるシステムの高度化にも取り組むという。
さらに、エネルギー管理システムや蓄電装置との連動などを含む需給制御手法の開発およびその実証、自端制御機能を備えたPCS(パワーコンディショナー)機能を高度化するための開発なども併せて行う計画である。
今回の開発事業は、2016〜2018年の3年間で実施する。事業委託先は東京電力ホールディングス、東京電力パワーグリッド、関西電力、北陸電力、九州電力、東京大学、早稲田大学、エネルギー総合工学研究所を予定している。
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