さて、話を戻しますが、このように鉄道人身事故(自殺)の復旧までの時間には、非常に大きなバラツキが認められます。
私は、この復旧時間に応じた、鉄道人身事故(自殺)の特徴を見いだすことができないかと考えました。
そこで今回、国土交通省に開示してもらった事故報告書の「文章」の部分を使って、この特徴の分析を行いました。
上記に記載した平均(約70分間)と標準偏差(約40分)を使って、飛び込み自殺による事故の復旧自時間を、(a)0〜30分、(b)30〜110分、(c)110分以上の3種類に分けて、2012年度の事故報告書を使って、簡単な単語の頻度分析を試みました(今回は、ユーザーローカルのWebサイトのサービスを使わせていただきました)。
この結果、かなり興味深い結果を得ることができました。
[ケース1]の場合
"女性"という名詞が、「30分以下」に上位で登場していることから、女性による人身事故(自殺)の規模が小さくなる傾向が読み取れます。
事故復旧までの時間が短いということは、体の部位の回収に時間にかかっていないということ ―― すなわち、死体がバラバラにならない状態、または切断されても一定の範囲内にとどまっており、死体の確認作業が速やかに完了している可能性が推認できます。
ここから、女性が、ホームを通過する急行列車よりも、普通電車への飛び込みを好む傾向があることが読み取れます(仮説の域を出ませんが)。
[ケース2]の場合
"警察"や"現場検証"という名詞が「110分以上」に上位で登場していることから、大きな事故になるほど、警察の捜査が必須になっている傾向が読み取れます。
これは、死体がかなりの数に分断され、かつ、広い範囲に飛び散っており、そのため死体のパーツの捜索作業に時間がかかっている可能性が推認できます。
ここから、速度の高い列車への飛び込みがされた場合に、事故復旧時間が長期化するという傾向があることが読み取れます(仮説の域を出ませんが)。
[ケース3]の場合
"飛び降りる"と"飛び込む"という動詞が、「30分以下」に上位で登場していることから、「30分以下」の事故では、その区別がつきやすいという傾向が読み取れます。
逆に言えば、「110分以上」の事故では、もう、死体の状況からは、"飛び降りる"と"飛び込む"を区別できるような状況ではないこと(死体のパーツ数の多さ、当該パーツの飛散の広範囲化)も読み取れます(これも仮説の(以下省略))。
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