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瑠璃色を再現した発色シートを開発、色素使わずモルフォチョウの色を忠実に

凸版印刷は2016年8月、顔料や染料などの色素を使わずに、モルフォチョウの瑠璃色を再現した構造発色シート「モルフォシート」を開発したと発表した。偽造防止などのセキュリティや、屋内外でのプロモーションツール向けの製品として、2017年度中の実用化を目指す。

» 2016年08月15日 10時30分 公開
[庄司智昭EE Times Japan]

ナノ構造設計と多層薄膜形成技術の融合

 凸版印刷は2016年8月、顔料や染料などの色素を使わずに、モルフォチョウの瑠璃色を再現した構造発色シート「モルフォシート」を開発したと発表した。

 インダストリー4.0を見据え、欧州や米国を中心に生物の持つ優れた機能や原理を模倣する「バイオミメティクス」が注目されている。2015年12月には、バイオミメティクスに関する国際標準ISOが制定され、製造プロセスの標準化が検討されている状況だ。

 日本においても、文部科学省の新学術領域として「生物規範工学」が採択され、生物学、史学、工学、情報工学が連携したバイオミメティクスに関する研究が、大学や研究機関だけでなく、民間企業でも行われている。特に、玉虫やモルフォチョウ、カワセミ、孔雀など生物の織り成す構造色が好まれ、長年にわたって研究されてきた。

 モルフォシートは、同社が培ってきたナノ構造設計技術と多層薄膜形成技術の融合によって実現。ナノインプリント技術により形成したナノ構造に金属薄膜を多層に成膜することで、光の反射と散乱を制御し、色を表現することが可能になる。構造や多層薄膜による物理的相互作用で発色するため、顔料や染料を使用した従来品と比較して、太陽光や蛍光灯などの紫外線による退色なく、鮮やかな色が長持ちするという。

構造発色シート「モルフォシート」 (クリックで拡大) 出典:凸版印刷

 同社は今後モルフォシートを、偽造防止などのセキュリティや、屋内外でのプロモーションツールへの活用に向けた研究開発を進め、2017年度中の実用化を目指すとした。

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