瑠璃色を再現した発色シートを開発、色素使わず:モルフォチョウの色を忠実に
凸版印刷は2016年8月、顔料や染料などの色素を使わずに、モルフォチョウの瑠璃色を再現した構造発色シート「モルフォシート」を開発したと発表した。偽造防止などのセキュリティや、屋内外でのプロモーションツール向けの製品として、2017年度中の実用化を目指す。
凸版印刷は2016年8月、顔料や染料などの色素を使わずに、モルフォチョウの瑠璃色を再現した構造発色シート「モルフォシート」を開発したと発表した。
インダストリー4.0を見据え、欧州や米国を中心に生物の持つ優れた機能や原理を模倣する「バイオミメティクス」が注目されている。2015年12月には、バイオミメティクスに関する国際標準ISOが制定され、製造プロセスの標準化が検討されている状況だ。
日本においても、文部科学省の新学術領域として「生物規範工学」が採択され、生物学、史学、工学、情報工学が連携したバイオミメティクスに関する研究が、大学や研究機関だけでなく、民間企業でも行われている。特に、玉虫やモルフォチョウ、カワセミ、孔雀など生物の織り成す構造色が好まれ、長年にわたって研究されてきた。
モルフォシートは、同社が培ってきたナノ構造設計技術と多層薄膜形成技術の融合によって実現。ナノインプリント技術により形成したナノ構造に金属薄膜を多層に成膜することで、光の反射と散乱を制御し、色を表現することが可能になる。構造や多層薄膜による物理的相互作用で発色するため、顔料や染料を使用した従来品と比較して、太陽光や蛍光灯などの紫外線による退色なく、鮮やかな色が長持ちするという。
構造発色シート「モルフォシート」 (クリックで拡大) 出典:凸版印刷
同社は今後モルフォシートを、偽造防止などのセキュリティや、屋内外でのプロモーションツールへの活用に向けた研究開発を進め、2017年度中の実用化を目指すとした。
- 幽霊や極低温原子、FPGAを手軽に使って処理
大量のデータから目的の情報を得る、極めて複雑な設定条件から正しい組み合わせを見つける。ミリ波レーダーや量子コンピュータの開発課題だ。National Instruments(NI)の年次カンファレンス「NIWeek 2016」(テキサス州オースチン)では、このような開発事例を3日目の基調講演において複数紹介した。
- 両極性動作する有機モット転移トランジスタを実現
理化学研究所は2016年8月5日、有機物のモット絶縁体を利用して両極性動作する「モット転移トランジスタ」を実現したと発表した。軽量、柔軟で集積化が容易な有機モットトランジスタの開発に向けて1歩前進した。電圧だけでp型n型を制御できることから、モット絶縁体のpn接合が可能になれば、新たな太陽電池や発光デバイスの開発につながる可能性もあるという。
- 共有結合性有機ナノチューブ、簡便な合成法開発
名古屋大学の伊丹健一郎教授らによる研究グループは、カーボンナノチューブに類似した筒状の新しい有機ナノチューブを簡便に合成する方法を開発した。
- 次世代太陽電池の評価時間を10分の1以下に短縮
大阪大学は2016年8月4日、ペロブスカイト太陽電池を高速に評価する新たな手法を開発したと発表した。通常の素子評価に比べて、10分の1以下の時間で評価することが可能という。
- 炭素複合材料を合成、燃料電池のコストを節減へ
芝浦工業大学の石崎貴裕准教授は、常温環境下のソリューションプラズマ処理で、窒素含有カーボン(NCNP)とカーボンナノファイバー(CNF)からなる炭素複合材料「NCNP-CNFコンポジット材料」の合成に成功した。
- CMOSチップに搭載できる光検出器、40Gbpsを実現
ドイツの大学が、CMOSチップに集積できるほど小型の光検出器を開発した。同大学は、この光検出器を導入した光通信システムのデータ伝送実験で、最大40Gビット/秒(Gbps)を達成したという。
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