研究チームは、こうした工夫を施したキャスト成長炉を用いて、直径35cm、高さ8cmのp−型シリコンの単結晶インゴットを作製。インゴットの全領域から均等に切り出したウエハー(15.6×15.6cmサイズ)を用いて太陽電池の変換効率を調べた。太陽電池は従来のCZ法で平均19.1%の変換効率が得られる太陽電池構造、プロセスを採用したところ、切り出したウエハーによる太陽電池では最高で19.14%、平均19.0%の変換効率が得られたという。歩留りについても、「極めて高歩留りで実現することに成功した」(JST)としている。
JSTでは、「市場占有率の高いハイパーフォーマンス(HP)キャスト成長法で作製したインゴット多結晶の太陽電池特性をはるかにしのぐものであり、NOC法の優位性を示している」と結論付ける。
なお、作製するインゴットの大型化は今後の課題になるが、「NOC法ではるつぼ径の90%の直径比を有するインゴット単結晶を既に実現しており、るつぼのサイズを最大限に活用する。今後、直径1m程度の大きなるつぼを使用して大容量の単結晶シリコンインゴットを作製できれば、開発技術を太陽電池用シリコンインゴット製造方法の主流にできる道が開ける」(JST)という。
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