ライダー(レーザーレーダー)が自動運転車に求められるセンサー技術の1つとして浮上する中、ライダーを専門とする新興企業が、イスラエル、ドイツ、カナダ、米国ニューメキシコ州やカリフォルニア州のあちこちに出現している。
2007年に初めて製品を出荷した米Velodyne Lidar(以下、Velodyne)は、今も圧倒的な実績と資金力を持つライダー技術企業であり続けている。同社が2016年8月16日(現地時間)に発表したところによると、Ford Motor(以下、Ford)と中国の大手サーチエンジン企業Baiduは共同で1億5000万米ドルをVelodyneに出資するという。
Velodyneは現在、同社のライダーイメージングユニット「VLP 16」と「VLP 32」をベースにしたものを含む、複数の新製品ラインをサンプル出荷している。同社のプレジデント兼最高執行責任者(COO)であるMike Jellen氏は、守秘義務契約を理由にデザインウィンについて明確に述べることはなかったが、Velodyneのライダー技術が既に25件の自動運転プログラムに用いられていることを明らかにした。
Linley Groupでシニアアナリストを務めるMike Demler氏は、EE Timesに対し、「Velodyneは、事実上全ての自動車メーカーとティア1サプライヤーが同社製のライダーセンサーを採用していると主張している」と語った。
報道によると、Baidu、Ford、Google、日産自動車、Volvoは、自動運転車の試験車にVelodyneの製品が採用されているという。また、フランスのNavya Armaなども、自動運転車にVelodyneの製品を用いている。Navya Armaは、自動運転の電気自動車を製造しているメーカーだ。
とはいえ、自動車業界において、自動運転車は黎明(れいめい)期にある。新興企業が次々に設立されることに伴い、より低コストかつ小型のライダーについて既に競争が起こっている。この競争は、Velodyne以外の企業がVelodyneを追う構図となっている。そのような企業の例として、そのような企業の例として、米Quanergy Systems(以下、Quanergy)、イスラエルInnoviz Technologies、米Aerostar、カナダLeddarTech、カナダPhantom Intelligence、米Strobe、米TriLumina、ドイツIbeo Automotive Systemsが挙げられる。
「2016 International CES」(2016年1月6〜9日、米ラスベガス)で、2016年のConsumer Electronics Show(CES)で自動走行車向けソリッドステート型ライダーを発表したQuanergyは、センサー1台当たりのコストを250米ドルまで大幅に下げる計画を協議していた。同社は2015年秋、Delphi Automotive Systemsとライダー開発で提携することを発表したが、その製品はまだ発売に至っていない。
Strategy Analyticsでグローバルオートモーティブプラクティス担当ディレクタを務めるIan Riches氏は、「Quanergyは量産車のデザインウィンについて公式には何も明らかにしていないが、同社にはMercedes Benz、Hyundai、Renault-Nissanなどの“パブリックパートナー”がいる」と記した。
Riches氏は、VelodyneとQuanergyのライダーの違いについて、「決定的な違いは、Velodyneのライダーはソリッドステートハイブリッドである点だ。作動や検知はソリッドステートだが、スキャニングは機械式だということになる。一方、Quanergyのライダーは完全にソリッドステートであり、可動部品は用いられていない」と説明した。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.