アルプス電気は2015年度、電子部品事業で売上高4340億円、営業利益407億円という過去最高業績を達成した。同社は、さらに今後3年で売上高5000億円、営業利益500億円以上へと引き上げる目標を掲げる。これまで業績を引っ張ってきたスマートフォン向け需要の成長に陰りが見え始めた中で、どういった成長戦略を描いているのか、同社役員に聞いた。
アルプス電気は今期、2017年3月期から電子部品事業で売上高5000億円達成などの数値目標を新しい3カ年中期経営計画をスタートさせた。前期まで3カ年にわたった旧中期経営計画では、スマートフォン向け部品の急成長などがあり、当初目標を大きく上回り、過去最高の売上高、営業利益を達成した。しかし、次の3カ年は、これまで成長を支えたスマートフォン市場の成長鈍化が見込まれ、新たな成長けん引役の育成が必要になる。
アルプス電気は電子部品事業において、どのような成長戦略を描いているのか。同社取締役で経営企画などを担当する気賀洋一郎氏にインタビューした。
EE Times Japan(以下、EETJ) 2016年3月末までの3カ年取り組んでこられた第7次中期経営計画では、数値目標として掲げた電子部品事業売上高3500億円、同営業利益240億円を、それぞれ4340億円、407億円で大きく上回って達成されました。
気賀洋一郎氏 われわれは、2016年3月末までの第7次中計の1つ前、2013年3月末までの第6次中計期間は非常に厳しかった。2008年のリーマンショック後、特に電機業界、とりわけ国内は非常につらい状況になり、2011年には東日本大震災、さらに、タイの大規模な洪水災害も起こり、業績は低迷した。そうした中で、当社は、2013年以降、とにかく売上高を確保すべく、「Get the Business」、略して「GTB」を社内スローガンを掲げた。ちょうどその頃から、業界全体に薄日が差しつつあった良いタイミングでもあり、業界の再成長に合わさって、うまく第7次中計を進めることができたと考えている。
加えて、2016年3月期は、為替の良い影響があったことも(第7次中計の数値目標を上振れ達成できた)要因だと分析している。
EETJ 足元の業績、2017年3月期第1四半期(2016年4〜6月)業績を見ると、前年同期比減収減益となりました。
気賀氏 (前年に比べて円高に進んだ)為替影響が大きく、需要自体が低迷しているわけではなく、堅調だ。
ただ、2015年末あたりから、スマートフォン市場での需要伸長は低迷気味であることも事実だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.