EETJ 車載向けビジネスの状況を教えてください。
気賀氏 自動車メーカーに直接納品する、いわゆる“ティア1”としてのビジネスとして行っている車載モジュールビジネスと、電子部品、通信モジュールなど単体を“ティア2”“ティア3”として提供する車載デバイスビジネスの2つで構成している。
EETJ 車載ビジネスでは今回の中計で売り上げ規模を2000億円から3000億円へ引き上げる目標を掲げています。車載モジュール、車載デバイスそれぞれの強化策を教えてください。
気賀氏 車載モジュールビジネスは、全ての自動車メーカーに納品しており、これ以上、シェア、数量をアップさせていくよりも、効率、収益性を高めていく方針だ。
カメラモジュールビジネスがそうであったように、車載モジュールビジネスも、半導体チップなど外部から購入する部材が多く、デバイス単体の事業よりも収益性は低い。しかし、自動車メーカーと直接、取引し、メーカーのコンセプトを具現化する立場でビジネスが行える利点がある。
車載モジュールビジネスの伸びは緩やかになるが、質の高いビジネスをやっていく。その一方で、収益性の高い車載デバイスビジネスをさらに伸ばし、モジュールとデバイスのバランスをよくしながら、成長させていく。
EETJ 車載デバイスビジネスの強化ポイントは?
気賀氏 これまでは、インテリアのところで実績を積んできたが、今後はパワー、駆動系を増やしたい。既に二輪系では、パワー/駆動系での採用実績が増えてきている。
商材としては、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)、センシング、コネクティビティ(通信)というアルプス電気のコア技術を生かした製品展開を行うという方針は変わりない。
センサーであれば、GMRヘッドで培ったテクノロジーを生かしたさまざまな磁気応用センサーや光センサー、温度センサーなどだ。コネクティビティでは、V2X用無線モジュールを2015年に製品化するなどしている。
EETJ センサーや通信モジュールを強化するメーカーは多くあります。アルプス電気としての強みはどのように打ち出されていきますか。
気賀氏 センサーは、センサーデバイスだけでなく、検知したデータから何が読み取れるかというアルゴリズムの部分が重要になってくる。自社での開発も行うが、大学やベンチャー企業とコラボレーションを行って、アルゴリズムという大きな価値を付加した状態で提供していきたい。
通信モジュールについては、RFやプロトコルソフトウェアの面で強みを持っている。スマートフォンなどの民生機器向けに、小さく通信モジュールを作り込むことを得意にしたメーカーなどと異なり、アルプス電気は相互接続性が担保され、かつ、車載品質で安定的に動作する通信モジュールを提供できる数少ないメーカーだと思っている。
EETJ 通信モジュールメーカーは、半導体メーカーを買収するなどして垂直統合ビジネスモデルを敷くメーカーが増えています。
気賀氏 半導体は進化が急で、トレンドもすぐに変わる。自前で持つことで大きな負担になる可能性がある。今のところ、半導体メーカーを買収することはない。ただし、既に複数の半導体メーカーとコラボレーションは行っており、今後も積極的に進めていく。
EETJ 3年後、車載ビジネスで売上高3000億円という目標達成見込みはどの程度ありますか。
気賀氏 車載市場のデマンドは堅調だ。3000億円の計画は、よほどのことがない限り、達成可能だとみている。
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