次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)は、「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日/幕張メッセ)で、TFTアレイシートと感圧ゴムシートを組み合わせたフレキシブル感圧シートを展示した。同シートを用いた物品管理システムのデモの様子を紹介する。
次世代プリンテッドエレクトロニクス技術研究組合(JAPERA)は、2016年10月4〜7日に幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2016」の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ブースで、非接触で商品管理が行える「どこでもノータッチで商品をデータ化できる圧力センサー」を展示した。
JAPERAでは、TFT(薄膜トランジスタ)アレイシートと感圧ゴムシートを組み合わせることで、アクティブマトリクス駆動のフレキシブル感圧センサーシートを作製。フレキシブル感圧シートを用いた入力デバイスや無線データ伝送と組み合わせた物品管理システムを試作し、デモを見せた。
デモでは、シャンプーや化粧品がフレキシブル感圧センサーシートに置かれており、在庫の状態がわずかになったことを検知すると、アラートを表示してくれることを確認できた。製品は、それぞれの面積と重さによって判別しているという。
JAPERAでは、フレキシブルデバイスの基盤となる高度TFTアレイ印刷製造技術を開発。「世界初」となる全印刷での生産ラインによる製造工程を確立した。基板サイズ300×400mm2のTFTアレイシートの性能は、アクティブエリア180×240mm2で、約50万個の素子数(300μmピッチ)だ。つまり、リアルタイムに多点を検出可能という。
また、効率を表すTFTの移動度は0.5cm2/Vs(平均値)となっており、JAPERAの担当者は「アモルファスシリコンと同等の性能を発揮できている」と語る。物流やヘルスケア用途での展開を目指すが、銀のインクに掛かるコストが高いのが現在の課題である。そのため、材料メーカーやシステムインテグレーターと協力し、量産化を目指していく。
NEDOブースでは、産業技術総合研究所(産総研)が2016年9月に発表したプロジェクト「IoTデバイス開発を支援するオープンイノベーション拠点」についても展示されていた。同拠点では、IoT産業に参入を目指す中小企業やベンチャー企業が消耗品代や電気代を払うだけで、産総研の既存共用施設と2017年度中に整備を進める施設を利用できる。
同プロジェクトは、NEDOの「IoT技術開発加速のためのオープンイノベーション推進事業」(2016〜2017年度)によって行われている。拠点整備と並行して、既にPEZY Computingやキッコーマンなど6つの実用化研究開発プロジェクトが行われているが、NEDO事業が終わる2018年度からは一般企業からの参加も広く募集していく。
産総研の担当者は、「デバイスのアイデアや設計、どのように具現化していくかを相談しながら、IoT技術開発に関するオープンイノベーションを進めたい」と語った。
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