NTTドコモは「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、千葉・幕張メッセ)で、AIを活用してタクシー利用の需要をリアルタイムで予測する技術を展示した。人口統計や気象データなどのデータを、多変量自己回帰と深層学習を使って解析して情報を抽出し、「30分後、都内のどのエリアにおいてタクシーの需要が増すか」を予測する。
NTTグループは「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日、千葉・幕張メッセ)において、「IoT×ネットワーク×AI(人工知能)」をテーマに、グループ各社の関連技術を展示した。NTTドコモは、AIを活用してタクシー利用の需要をリアルタイムで予測する、「リアルタイム移動需要予測技術」を紹介した。同技術を使った実証実験は、2016年6月〜2017年1月の期間、東京都内において行われている。この実証実験には、NTTドコモの他、東京無線協同組合、富士通、富士通テンが参加している。
リアルタイム移動需要予測技術では、タクシーの運行データなどのデータとAIを組み合わせ、30分後のタクシー利用の需要を予測する。データには、タクシー運行データの他、雨が降るなどの気象データ、コンサートがあるなどのイベントデータ、レストランや居酒屋が多いといった施設情報、そしてNTTドコモの人口統計が用いられるのが特長だ。
この人口統計は、NTTドコモが提供するモバイルネットワークの仕組みを利用して作成されるもの。現在、国内では約7000万台の携帯電話がNTTドコモのネットワークに接続されている。基地局の運用データから人口分布(その基地局の周辺に、人がどれだけいるのか)を把握する*)。NTTドコモの説明員によると、この人口統計を予測用のデータに使うことで、予測の精度が最大約25%向上するという。
*)NTTドコモは、このようにモバイルネットワークを利用して作成した人口統計の情報を「モバイル空間統計」として提供するサービスを展開している。
AIの手法としては、多変量自己回帰と深層学習を組み合わせて、用いているという。
実証実験では、「30分後にタクシー利用の需要が増えそうな地域」を、タクシーのカーナビゲーションシステムの地図上にリアルタイムで表示させる。ドライバーはそれを見れば、「この地域に行けばよさそうだな」ということが分かる。「タクシー会社の売り上げを底上げできるだけでなく、ユーザーもタクシーを拾いやすくなり、双方にとって利点がある」(NTTドコモ)
リアルタイム移動需要予測技術は、タクシーだけでなく電車やバスなどにも適用できる。将来的には同技術をさまざまな交通機関に適用し、「その時、どの交通手段を利用するのがユーザーにとって一番いいのか、“交通の最適化”を目指したい」(NTTドコモ)としている。
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