SanDiskが語る、抵抗変化メモリの多様な材料組成 : 福田昭のストレージ通信(46) 抵抗変化メモリの開発動向(5) (2/2 ページ)
抵抗変化メモリ(ReRAM)の材料は、なんでも良い、というわけにはいかない。半導体の製造工程と互換性のある元素が望ましい。抵抗変化層と電極層には金属や金属酸化物、電解質などが使われる。これらの材料には、半導体の製造工程、特にCMOSプロセスで扱える元素を採用しておくことが、開発期間を早めることにつながる。
CMOSのフロントエンドプロセス(FEOL、トランジスタ工程)に組み込める元素には、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)などがある。FEOLに組み込める元素はあまり多くない。
CMOSのフロントエンドプロセス(FEOL、トランジスタ工程)に抵抗変化メモリの金属や金属酸化物、電解質などとして組み込める元素 (クリックで拡大) 出典:SanDisk
これに対し、CMOSのバックエンドプロセス(BEOL、金属配線工程)に組み込める元素は、かなり多い。FEOLに組み込める元素を全て含む他、VI族元素(硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te))と金属元素(マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)など)などが加わる。
CMOSのバックエンドプロセス(BEOL、金属配線工程)に抵抗変化メモリの金属や金属酸化物、電解質などとして組み込める元素 (クリックで拡大) 出典:SanDisk
(次回に続く )
SanDiskが語る、半導体不揮発性メモリの開発史
今回からは、国際学会で語られたSanDiskの抵抗変化メモリ(ReRAM)の研究開発動向について紹介していく。まずは、約60年に及ぶ「不揮発性メモリの歴史」を振り返る。
次世代メモリ市場、2020年には70億米ドル規模に
ReRAMやMRAMといった不揮発RAM市場は、今後急成長を遂げ、2020年には70億米ドル規模に拡大すると見られている。NAND型フラッシュメモリやDRAMに取って代わるには、微細化とビット当たりの価格が鍵になりそうだ。
開発進む不揮発メモリReRAM、新材料からチップ化まで技術がそろう
ReRAM(Resistive Random Access Memory:抵抗変化メモリ)は高速に書き換えでき、書き込み動作に必要な電圧もNAND型フラッシュ・メモリの1/10程度と低い。フラッシュ・メモリを置き換える可能性がある不揮発メモリとして期待を集めている。
抵抗変化メモリとGaNデバイス
今回のプレビューでは、セッション7〜9を紹介する。セッション7では抵抗変化メモリ(ReRAM)の信頼性に関する発表が相次ぐ。セッション8では、3次元集積回路の製造技術がテーマだ。セッション9では、富士通と東京工業大学が試作した、96GHzの周波数で出力が3W/mmと高いInAlGaN/GaN HEMTなどが発表される。
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