こんにちは、江端智一です。
本日は、以下の2つのテーマについてお話をしたいと思います。
(1)前回のコラムで、私が仮説立案に全滅した6つの疑問に関する、読者の皆さんからいただいた仮説のご紹介
(2)2016年10月26日の午前7時35分ごろ、小田急小田原線狛江駅で発生した人身事故について、事故の巻き添えを食らった方のTwitterのメッセージの分析
それでは早速、(1)から始めてみたいと思います。
今回は、アンケートに申し込んでいただいている78人の読者の方のうち、23人からご回答をいただきました。本当にありがとうございました。
なお、読者の方から、データの内容ついての質問を受けておりますので、まずはそれに簡単にお答えしておきます。
前回の解析で使用したデータは、過去11年間の鉄道事故、約5万件の中から、警察などが「自殺である」と認定した6630件です。
日本では、自殺は5月(春)に多いことが分かっています。これは日本だけでなく、世界的にも確認されている事実です。しかし、その理由は、世界中の心理学者や社会学者も、よく分かっていないようです。
南半球にあるオーストラリアではどうなんだろうか思って、ちょっと調べてみたのですが、「暖かくなる季節に増加の傾向が見られる(suicide …. tend to occur more often in warmer months) 」という記述があり、やはり春に自殺が多いのは世界的な傾向のようです(参考)。
比して、今回、データを調べてみたところ、鉄道の「飛び込み自殺」は、7月に増加傾向が見られ、8月に減少傾向が見られます。
この疑問に対して、アンケートに応じていただいた皆さんの仮説(全部)はこちらです。以下の表は、その中から、私が「なるほど」と思ったものを抜粋したものです。
"バースデーブルー"仮説とは、ひと言で言えば「人間は、誕生日に自殺を選択しやすい」という事実に基づく仮説です(通常の1.5倍だそうです)。こちらのグラフをご覧いただければ一目瞭然なのですが、7月に「飛び込み」が多いことを説明する仮説としては、非常に強力なものです*)。
*)この私でさえ、「竜馬の寿命を超えた」とか、「信長を超えた」などと思うと結構憂鬱になったものです。今は、「しかし、伊能忠敬が日本地図の測量を開始する前だ」と、自分を慰めています。
その他も、それぞれ納得できる説であり、これらの仮説が複雑に重なって、7月は「飛び込み」の数が増加しているのかもしれません。
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