同研究所は、SBSナノシートで電子素子を挟んだことで、はんだ付けなどの高温処理工程を用いずに、配線と電子素子を接続することに成功した。この時、ナノシート上の印刷配線と電子素子の電極部は、常に接触していたという。
またナノシートの膜厚を薄くするほど、電子素子の密閉性が向上し、より小さい接触抵抗値での接続を可能にした。これにより、印刷配線と素子の電気的接続は、ナノシート特有の柔軟性と密着性に由来することも明らかにしている。
SBSナノシートとLEDからなる厚さ約800nmのデバイスを皮膚に貼り付けたところ、生体組織表面でもLEDを安定的に点灯させることに成功したとする。
銀配線の間にチップ抵抗器を配置し、SBSナノシートで封止した様子。左が2500nmのシート、右が厚さ250nmのナノシートを用いている。白点線の内側では、封止用のナノシートが基材側に密着せず浮いている。膜圧が薄く追従性の高いナノシートだと、密閉性が向上するという (クリックで拡大) 出典:早稲田大学今回開発した手法は、耐熱性の低いプラスチック基材や電子素子に応用できるため、精密機器の封止にも有用である。電子回路の配線は、PCと家庭用のインクジェットプリンタで設計、印刷できるため、容易に低コストで“貼るエレクトロニクス”を作製可能だ。同研究所は、「学習用キットとしての利用も見込まれる」と語る。
今後はナノシート表面に回路やセンサー、アンテナを集積することで、貼るエレクトロニクスの開発を進め、健康医療やスポーツ科学分野へと応用を目指すとした。
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