大日本印刷(DNP)は、3次元構造のNAND型(3D NAND)フラッシュメモリの需要増加と低コスト化に対応するため、回路線幅が10nm台のナノインプリント用テンプレートの複製装置を2017年3月に導入する。
大日本印刷(DNP)は、3次元構造のNAND型(3D NAND)フラッシュメモリの需要増加と低コスト化に対応するため、ナノインプリント用テンプレートの複製装置を2017年3月に導入し、半導体メーカーへ回路線幅10nm台のテンプレート供給を開始する。
メモリセルを垂直に配置した3D NANDフラッシュは、データ容量を飛躍的に増やすことができるため、高機能化するスマートフォンや、IoTの普及によりデータ量が急増しているデータセンター向けなどで大幅な需要増加が見込まれている。しかし、従来のフォトリソグラフィ技術による製造方法では、製造装置が高価になるなどの課題があった。
ナノインプリントリソグラフィ技術は、テンプレートから直接回路パターンを転写して複製するため、高価な光学系の設備を使用せず、比較的安価な露光装置での製造が可能である。製造工程も簡略化できるため、従来のフォトリソグラフィ技術による製造方法と比較して、約3分の1のコストダウンが期待できるという。
DNPは2003年から半導体向けナノインプリント用テンプレートの開発を行っており、2009年以降は東芝とキヤノンと共同でナノインプリントリソグラフィのプロセス開発を進めてきた。2016年からは、回路線幅10nm台の半導体向けナノインプリント用テンプレートの生産体制構築に向けて、高解像度高速EB描画(マルチビーム描画装置)やドライエッチングなどの装置で、総額40億円の設備増強を進めているとする。
設備増強の最終段階として、キヤノンのナノインプリント用テンプレート複製装置「FPA-1100NR2」を導入。東芝への量産供給ラインを構築して、本格的に供給を開始するという。DNPは「10nm台のテンプレートを安定的に複製、提供することで、製造プロセスの簡略化や大幅なコストダウンを支援する」とコメントしている。
DNPは、3D NANDフラッシュ向けナノインプリント用テンプレートの供給開始によって、2019年には年間で約100億円の売り上げを目指す。今後も需要の増加とさらなる微細化、コスト削減に対応すべく、開発や生産体制を強化していくとした。
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