東北大学は、セイコーインスツルの子会社と共同で、シリコンを使ったUV(紫外線)センサー用フォトダイオードの量産化技術を開発した。2個のフォトダイオードを組み合わせることで、日焼けやシミなどの原因となるUVをスマートフォンなどで簡便に計測することが可能となる。
東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻の須川成利教授と黒田理人准教授の研究グループは2017年3月、セイコーインスツルの子会社であるエスアイアイ・セミコンダクタと共同で、シリコンを使ったUV(紫外線)センサー用フォトダイオードの量産化技術を開発したと発表した。2個のフォトダイオードを組み合わせることで、日焼けやシミなどの原因となる紫外線をスマートフォンなどで簡便に計測することが可能となる。
同研究グループはこれまで、190〜1100nmの波長帯域で高い感度を有し、強い紫外光の環境でも性能が劣化しないという優れた耐光性を備えたシリコンフォトダイオード技術を開発してきた。この技術を応用して差分型の検出方法を新たに導入した。
シリコンフォトダイオードを用いて紫外線領域の光信号を検出するには、これまで専用のフィルターを用意する必要があった。このフィルターで可視光成分をカットし、シミやしわの原因となるUV-A(波長帯は315〜400nm)と、日焼けの原因となるUV-B(同280〜315nm)を測定していた。
今回開発した技術は、紫外光に対して高感度なフォトダイオードと低感度のフォトダイオードの2つを利用して、その差分を計測した。この方式だと専用フィルターがなくても可視光成分をカットすることができ、紫外線領域で感度の高い測定ができるという。透過率の低下を防止することも可能となる。
開発したUVセンサーは、表面実装タイプの小型透明樹脂パッケージを採用した。このため、スマートフォンやウェアラブル機器への実装も容易となる。健康管理や美容医療といった用途に加え、産業分野におけるUV硬化装置やUV硬化インクを用いた印刷機などの用途にも提案していく。エスアイアイ・セミコンダクタは、2018年春にも量産製品の出荷を始める予定である。
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