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64ビット4コアCPUが5ドル、中国メーカーの価格破壊製品分解で探るアジアの新トレンド(15)(3/3 ページ)

» 2017年04月10日 11時30分 公開
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さらに普及が見込まれる格安CPU

 図6は、AllwinnerのA64を採用した商品の一例である。一方で、ラズパイ3のBCM2837は、専用チップとして使われていて、ラズパイ以外には使われていない。

図6:A64を採用した製品の一例(クリックで拡大)出典:テカナリエレポート

 先述した通り、チップ価格を下げるには、さまざまな市場に同じチップを大量に出荷し、「量産効果」を出すことが一番の近道である。その点、A64は多様な市場で採用されていて、ウエハーも大量に使うため、ウエハー価格も下げることができている可能性が高い。

 A64を使う「azpen HYBRX A1160」はOSにRemixを用い、11.6型ディスプレイを備える136.88米ドルからの激安ノートPCだ。「PINEBOOK」はさらに安価なノートPCである。OSはAndroidやLinuxなどに対応し、価格は89米ドル。

 この他にも、さまざまなタブレットやセットトップボックスにA64は採用されている。米国メーカーの製品もあるが、これらは実際には中国で開発され、製造されている物だ。A64はシングルボード・コンピュータのプロセッサとしてばかりでなく、“教科書的なASSP(Application Specific Standard Product)”として、Allwinnerのチップは広がっている。今回紹介したA64のGPU機能を強化した「Allwinner H5」も出回り始めていて、Allwinnerの格安プロセッサは、さらに普及する可能性が高いと思われる。

執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年に渡る半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


⇒「製品分解で探るアジアの新トレンド」連載バックナンバー

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