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電気で自在に調光できる窓、クラウドとの連携もブラインドもカーテンも不要?(2/3 ページ)

» 2017年04月13日 12時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

大きなサイズの窓でも3分で色が変わる

 Halioの調光には、エレクトロクロミックと呼ばれる方式が使われている。エレクトロクロミックとは、ある化合物に電気を流すことで化学変化が起こり、それによって色が可逆的に変化する化学反応である。Halioは、このエレクトロクロミックによって、透明状態から黒(ダークグレー)い着色状態まで、光の透過率を任意に変えられる。最も暗い状態での光の透過率は2〜3%だ。なお、より暗い状態を実現できるシリーズ「Halio Black(ヘイリオ・ブラック)」は、光の透過率が0.1%を切るくらいまで暗くできる。いったん着色状態(あるいは透明状態)になった後は電気を流し続ける必要はないので、消費電力を低く抑えられる。

Halio。右が「Halio Black」(クリックで拡大)

 エレクトロクロミック方式は新しい技術ではなく、約30年前から開発されてきたものである。エレクトロクロミック方式を採用した調光ガラスも、フランスや米国の複数のメーカーが既に製品化している(以下、「第1世代の調光ガラス」とする)。

 では、KinestralのHalioは、第1世代に比べてどんな点が優れているのか。

 最も特徴的なのは、透明から黒く変化するまでのスピードである。第1世代の調光ガラスは、オフィスビルに使われるような大きめのガラスの場合、色がダークグレーに変わるまでに約20分かかることもあるという。Halioは、電気を流し始めてほとんどすぐに色が変わり始め、早ければ1分、高さ3m×幅1.5mほどの大型サイズの窓でも3分あれば、ダークグレー(または透明)に変わるという。

Halioの色が変化する様子。色が変わるスピードは速い

 この「素早い変化」を実現している技術の1つが、Kinestralが特許を持つ独自技術「Gradient TCO」だ。傾斜抵抗をITO導電膜に付けるというもので、これにより着色スピードが上がることに加え、調光ガラス全体を、色むらを発生させずに均一に着色できるという。

 Halioは、第1世代とは製法も異なる。Halioは、ウェットコーティングをベースにした新しい製法を導入していて、電流を流す膜をコーティングした特殊なガラスを、正極をコーティングしたガラスと負極をコーティングしたガラスで挟み込んだ構造になっている。第1世代はドライコーティングを使い、1枚のガラスの上に正極と負極をどんどん重ねていく製造法だった。第1世代は生産性が低いという課題があり、従ってどうしても高コストになる。Kinestralは、Halioに上記の新しい製法を導入したことで、不良品率を低減して生産性を向上したという。これにより、第1世代に比べて低コスト化を実現した。Kinestralは、Halioの製造工程について22件の特許を取得している。

Halioの構造。第1世代はガラスの黄色味が強く、建築素材として敬遠される傾向にあったが、Halioでは新しい素材を使うことで黄色味が消え、クリアな色合いを実現できたという(クリックで拡大) 出典:Kinestral

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