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GaNウエハー市場は今後5年でよりオープンにPCIM Europe 2017

ベルギーEpiGaNは、「PCIM Europe 2017」に出展し、8インチ(200mm)のGaN on Siウエハーなどを展示した。EpiGaNは、GaNウエハー市場は今後3〜5年で、よりオープンになるとみており、そうなれば同社にも大きなビジネスチャンスが訪れると述べる。

» 2017年05月23日 13時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

5GやIoT分野でGaNパワーデバイスへのニーズが高まる

 パワー半導体の展示会である「PCIM Europe 2017」(2017年5月16〜18日、ドイツ・ニュルンベルク)に出展したEpiGaNは、GaNウエハーのサプライヤーである。ベルギーの研究機関IMECからスピンオフして、2011年に設立された。現在の従業員数は10人だ。

 EpiGaNは、8インチ(200mm)のGaN on Siエピウエハー(エピタキシャルウエハー)を、研究開発や品質評価向けに提供している。8インチの他、3インチ、4インチ、6インチのGaN on Siウエハーを提供できる。

EpiGaNが展示したGaN on Siウエハー。左から4インチ、6インチ、8インチ。耐圧はいずれも650Vである(クリックで拡大)
EpiGaNが提供する、RFデバイス向けのGaNウエハーの構造 出典:EpiGaN

 EpiGaNでCMO(Chief Marketing Officer)を務めるMarkus Behet氏によると、「現在、GaN on Siウエハーは6インチが主流だが、8インチに移行しつつある」と説明する。4インチについてはGaN on SiCウエハーも手掛けている。さらに、6インチのGaN on SiCウエハーも開発中だ。

 EpiGaNのGaNウエハーは、エピウエハーの上部に、in-situ SiN(窒化ケイ素)膜をMOCVD(有機金属化学気相成)によって生成していることが特長だ。これにより、AlN(窒化アルミニウム)膜をバリア層として使うことができ、250Ωスクエア以下のシート抵抗を実現しているという。

 Behet氏は、「ここ数年、5G(第5世代移動通信)の研究開発向けや、IoT(モノのインターネット)機器に搭載するセンサー向けとしてGaNパワーデバイスのニーズが高まっている。これらの分野に向けたウエハーの提供が多くなっている」と説明する。

GaNウエハー市場は、よりオープンに

 EpiGaNは、ベルギー・ハッセルト(Hasselt)にあるインキュベーションセンター*)Corda CampusでGaNウエハーを製造している。生産能力は、6インチウエハー換算で年間1万枚ほどだ。

*)起業家やスタートアップ企業、ベンチャー企業を支援するために、施設やオフィスなどを安価に提供している場所

EpiGaNのMarkus Behet氏

 Behet氏は、「GaNパワーデバイスの規模は、まだまだ小さく、われわれも“大口”と言えるほどの顧客は持っていない」と述べる。「現在、パナソニックやInfineon Technologies、Texas Instruments(TI)、STMicroelectronicsといった、GaNパワーデバイスを開発する大手半導体メーカーのほとんどは、GaNウエハーを内部で調達している。だが、GaNパワーデバイスの開発が進み、使用するウエハーの量が増えれば、自社以外のセカンドソースを求めるようになるのではないか。そうなれば、GaNウエハーの市場は、よりオープンになり、当社にも大きなチャンスが訪れるはずだ。今から3〜5年後には、このような状況になると見込んでいる」(同氏)

日本市場での知名度を上げる

 EpiGaNは、欧州、米国、中国、日本などの顧客にウエハーを提供している。Behet氏は、日本市場には大きな期待を持っていると述べる。「SiCパワーデバイスを手掛ける大手メーカーが多い日本は、GaNに対する関心も高い。われわれは既に日本に顧客を持っているが、当社の知名度を上げるための活動を積極的に行っていく予定だ。詳細は明かせないが、現在、ある販売代理店と契約に向けて交渉を進めている最中である」(Behet氏)

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