塗布膜は耐熱性に優れていることも分かった。バーコート法で塗布した膜でも、180℃で24時間保持した加熱試験後に、加熱試験前と同等の電磁波遮蔽効果を維持していることが確認された。
開発したSGCNT系水性塗料と市販の銀(Ag)系塗料、カーボンブラック(CB)系塗料について、バーコート法を用いて塗布膜を形成し、それぞれの特性を比較した。その結果、SGCNT系水性塗料は、塗布できる基材の選択性が高く、塗布膜は実用上十分な電磁波遮蔽効果を持ち、屈曲性に優れ、変形にも強いことを確認した。
これに対して市販のAg系塗料は、電磁波遮蔽効果に優れているものの、塗布できる基材が限られる。しかも、温環境下では塗布膜を形成した基材とバインダー樹脂との熱膨張率の違いからゆがみが生じ、ひびや剥がれが発生した。市販のCB系塗料は、塗布できる基材の選択性は高いものの、十分な電磁波遮蔽効果を示さなかったという。
CNT複合材料研究拠点では今後、企業から提供される基材に、開発したSGCNT系水性塗料で電磁波遮蔽膜を形成し、サンプルとして戻すサービスを提供していく考えである。
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