ぺロブスカイトとSiのタンデム太陽電池で新記録:約24%の変換効率
IMECなどが、ぺロブスカイトとシリコンのタンデム太陽電池モジュールで約24%の変換効率を達成した。アパーチャ面積4×4cmの積層型太陽電池モジュールとしては過去最高の値だという。
IMEC、Solliance、Energyvilleは2017年8月8日(ベルギー時間)、シリコン太陽電池の上にぺロブスカイト太陽電池モジュールを積層した4端子タンデム構造の太陽電池モジュールを改良し、4×4cmのアパーチャ面積で23.9%のモジュール変換効率を達成したと発表した。
シリコンにぺロブスカイトを積層したアパーチャ面積4×4cmのタンデム太陽電池モジュール 出典:IMEC(クリックで拡大)
IMECは2016年にSollianceと共同で、4端子タンデム構造のIBC(裏面電極型)単結晶シリコン上に積層した半透明ペロブスカイトモジュールを発表していた。その変換効率は当初、4×4cmのアパーチャ面積で20.2%に過ぎなかった。だが、改良を加えたことで同サイズの面積において23.9%に達し、シリコン太陽電池の変換効率を上回った。
今回の改良では、異なった種類のぺロブスカイト材料(CsFAPbIBr)を採用し、ぺロブスカイト太陽電池モジュールの変換効率を15.3%に向上。さらに、ペロブスカイトモジュールの上に反射防止膜を加え、ペロブスカイトモジュールとシリコン太陽電池セルとの間に屈折率整合液を挟むことで、積層構造を光損失最小化のために最適化した。
IMECによると、変換効率23.9%という数値は、アパーチャ面積4×4cmの積層型太陽電池モジュールとしては過去最高記録だという。
- 最大63%の変換効率を備える新型太陽電池構造
神戸大学の研究グループが、理論予測上の変換効率が最大63%に及ぶ新型の太陽電池セル構造を開発した。経産省が目標とする2030年の発電コスト7円/kWhを達成するには、太陽電池の変換効率を50%以上に引き上げる必要があるが、この太陽電池セル構造はその条件を十分に満たす。
- CIS系薄膜太陽電池で、19.2%の変換効率達成
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とソーラーフロンティアは、外形寸法が30×30cmのCIS系薄膜太陽電池サブモジュールを開発し、変換効率19.2%を達成した。
- 日本企業が世界最高水準、記録的な発電コスト
太陽電池を用いた発電方式が化石燃料に取って替わるかどうか。1枚の太陽電池の発電コストを決めるのは、変換効率と寿命、製造コストだ。だが、太陽電池を大量に利用した大規模な発電所を作り上げる際には、他の要因がより効いてくる。アラブ首長国連邦アブダビに建設を予定する太陽光発電所の事例から、順調に発電コストが下がっていることが分かる。
- シリコンを用いた高効率太陽電池、「限界」を突破するには
安価な部材を使い、製造しやすく、高効率な太陽電池を作りたい。米NRELとスイスCSEMが2016年1月に発表した手法では、シリコン技術をベースに異種の半導体を組み合わせた。2層を上下に並べて機械的に接続し、29.8%という高い変換効率を得た。どのような特徴がある技術なのか、NRELのDavid Young氏に開発ポイントを聞いた。
- ドーム型の太陽電池/EL素子、ESC法で試作
理化学研究所(理研)は、「nano tech 2016 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」で、有機半導体コロイドインクと静電スプレー成膜(ESC:Electrospray Coating)法を用いて試作した、ドーム型太陽電池用パネルやEL素子を初めてデモ展示した。
- ペロブスカイト太陽電池、世界最高級の変換効率
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と物質・材料研究機構(NIMS)の研究チームは、1cm角のペロブスカイト太陽電池セルで、エネルギー変換効率18%超を達成した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.