パナソニックがダイレクトドライブ(DD)方式ターンテーブルの試作機「IFA2017」を発表した。Technicsブランドの「SP-10R」として、2018年夏をめどに商品化する予定という。
パナソニックは2017年8月31日、SN比92dBとワウフラッター(回転ムラ率)0.015%の性能を備えるダイレクトドライブ(DD)方式ターンテーブルの試作機「IFA2017」を発表した。Technicsブランドの「SP-10R」として、2018年夏の商品化を視野に開発を進めるという。
IFA2017は、現行機種「SL-1200G」で採用したコアレスダイレクトドライブモーターのローター両面駆動を搭載している。それに加え、ステーターコイルを基盤両面に配置することで、SL-1200Gの2倍以上となるトルクを実現した。
回転軸との接触面には超耐熱、耐摩擦、摩耗性に優れた機能性樹脂を採用。軸受部には高剛性ステンレススチールを用い、圧倒的な剛性と耐久性を実現した。また、プラッターとの締結を強化することで、回転時の微細な軸回りの振動を排除している。
プラッターには真鍮(しんちゅう)、アルミダイカスト、デッドニングラバーの3層構造を採用。各層の固有振動数を最適化し、外部からの振動を徹底的に抑制している。また、プラッター質量をSL-1200Gの2倍以上となる約7kgに引き上げ、慣性質量を約1トン・cm²とし、ムラのない安定的な回転を可能にした。
電源としては、スイッチング方式を用いた新開発の超低ノイズ電源を採用した。この電源では、変圧器を用いるトランス方式に比べ、電源周波数に準じた低周波成分であるハムや振動などのノイズ成分の発生を抑制できる。微小なアナログ信号を扱うターンテーブル本体へのノイズ成分混入を防止するため、電源部は本体から独立した別筐体に収めている。
パナソニックは、1975年に発売した「SP-10MK2」や、1981年に発売した「SP-10MK3」を用いたシステムを「SP-10R」に置き換えられるよう、互換性に配慮した設計を進める。また、トーンアームなどを含めたターンテーブルシステムとしての商品化も検討していくという。
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