日本の大手キャリアであるKDDIとソフトバンクが、2017年9月に5G(第5世代移動通信)に関する実証実験の成果を相次いで発表した。
KDDIは2017年9月7日、Samsung Electronicsと共同で行った5Gの実証実験で、時速190km超で走行中の車両においてハンドオーバー(ローミング)に成功したと発表した。KDDIは2017年2月、28GHz帯(帯域幅800MHz)を使った5G向け実証実験で、最高時速60kmで走行する車両においてハンドオーバーに成功している(関連記事:5G実証実験で、28GHz帯のハンドオーバーに成功)。
今回発表した実証実験では、韓国・龍仁(ヨンイン)市の「Eveland SPEED WAY」に構築した28GHz帯の実験システムを利用して、複数の基地局間を時速192kmでハンドオーバーすることに成功したという。さらに、時速205kmで走行する車両において、5Gのデータ通信に成功した。
一方のソフトバンクは2017年9月8日、「超高精細リアルタイム映像伝送」「超低遅延でのロボットアーム遠隔制御」など4種類について5Gのデモを行ったと発表した。いずれも4.5GHz帯、帯域幅100MHzを用いている。ロボットアームの遠隔制御のデモについては、華為技術日本(フェーウェイ・ジャパン)と共同で5Gネットワークを構築した。
超高精細リアルタイム映像伝送では、デモルームに設置した超高精細カメラで撮影した風景のデータをリアルタイムで圧縮し、5Gネットワークで高速伝送して、60型の高精細モニターに映した。伝送速度は800Mビット/秒(Mbps)を実現したという。
ロボットアーム制御では、人間とロボットアームがエアホッケーゲームで対戦するデモを行った。ゲームボード上に設置したカメラでパックの位置を検出し、それを基に軌道計算を行う。計算結果を5Gネットワークを用いてリアルタイムにロボットアーム制御サーバに転送することで、ロボットアームの遠隔操作を行った。軌道を計算するサーバからロボットアーム制御サーバまでの伝送遅延は2ミリ秒だった。デモでは、人間が打ったさまざまな軌道のパックをロボットアームは即座に跳ね返したという。
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