透明で曲がる太陽電池、東北大が開発:フロントガラスや窓に設置可能(2/2 ページ)
研究グループは、デバイスの大面積化にも取り組んだ。開発した製造プロセスは、現行の半導体デバイス製造にも使うリソグラフィ装置を用いて、シリコン基板などに電極を作りこむことができる。その上に、TMDを塗布することで太陽電池が出来上がるという。実際に、シリコン基板を用いて太陽電池を作製したところ、センチメートル単位の基板上で発電していることを確認した。同様に、透明でフレキシブルなポリマー(PEN)基板上にも太陽電池を作製し、発電することを実証した。
a、b、dはシリコン基板上、cとeは透明フレキシブル基板上に形成したショットキー型TMD太陽電池の写真と代表的な発電特性 出典:東北大学
さらに、発電機構も解明した。これにより照射する光の波長によって、発電効率が異なることが判明した。これにはTMD特有の励起子とバンド構造が発電効率に関与していることも分かった。
開発した太陽電池の発光効率は、光を透過しない従来のシリコン太陽電池に比べると低いが、透過性や柔軟性など、これまでにない付加価値があり、新たな用途開拓が期待されている。
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