NaMLabおよびドレスデン工科大学などの共同研究グループは、二酸化ジルコニウム(ZrO2)の反強誘電体キャパシターにこの手法を適用し、実際にキャパシターを試作した。比較のために、トップ電極とボトム電極が同じ合金材料(仕事関数に差がない)のキャパシターと、トップ電極とボトム電極で違う合金材料(仕事関数(WF)が異なる)のキャパシターを作製した。二酸化ジルコニウム(ZrO2)の厚みは10nmである。
なお電極材料はボトム電極はいずれも同じで窒化チタン(TiN)、トップ電極はTiNあるいは酸化ルテニウム(RuOx)である。TiNの仕事関数は約4.5eV、RuOxの仕事関数は約5.3eVであり、両者には約0.8eVの差がある。
試作した反強誘電体キャパシターの分極特性。左はトップ電極とボトム電極が同じ(窒化チタン(TiN))場合の特性。反強誘電体としてのヒステリシス曲線を描いている。右はトップ電極に仕事関数の大きな材料(酸化ルテニウム(RuOx))を導入したときの特性。強誘電体と類似のヒステリシス曲線を描く。特性が大きく変化していることが分かる。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)酸化ルテニウム電極と窒化チタン電極で二酸化ジルコニウム薄膜を挟んだキャパシターでは、印加電圧の変化に対して分極電荷量が、強誘電体と似た変化を示すようになった。一見すると、強誘電体の分極特性と思ってしまうほどである。非常に良好な結果が得られている。
(次回に続く)
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