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MIPIはモバイルから車載へ、成長拡大を求めて専門グループも設置

これまで主にスマートフォンをはじめとしたモバイル機器で普及してきたMIPI規格だが、次なる成長機会として自動車分野に狙いを定めている。

» 2017年10月23日 13時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]

モバイルから車載へ

 MIPI Allianceは、主にモバイル業界だったインタフェースを、自動車のような成長市場にも適用するという取り組みに力を入れている。

 MIPIが新たに設置した「BoF(Birds of a Feather)」グループは、自動車メーカー、サプライヤー、その他の業界エキスパートの意見などを1つにまとめることで、車載アプリケーション向けの既存のインタフェース仕様を強化する他、新たな仕様策定を目指す。そうした仕様には、環境センサー間のデータリンク要件、ECU(電子制御ユニット)、2020年以降の運転支援や自動運転プロジェクト用ディスプレイなどが含まれる。

 MIPI Allianceでマネージングディレクターを務めるPeter Lefkin氏は、EE Timesとの電話インタビューの中で、同アライアンスのメンバー企業は既に、モバイル領域向けの仕様を既に車載アプリケーションに活用していることを明らかにした。Lefkin氏は、「MIPIは主にモバイルに注力しているが、他の業界への移行も考えていないわけではない」と述べている。

 BoFグループに参加している企業として、Cadence Design Systems、Microchip Technology、Intel傘下のMobileye、NXP Semiconductors、Tektronix、Teledyne LeCroy、東芝、Western Digitalが挙げられる。

 Lefkin氏は、JEDECが自動車向けに策定したUFS規格には、2つのMIPI関連の仕様が含まれていることと、MIPIが既に複数の関連組織と協力関係にあることを明らかにした。

 BoFグループを率いるMatt Ronning氏は、MIPI Allianceの業界標準インタフェースが、衝突緩和や衝突防止、インフォテインメント、ナビゲーションシステムなど、幅広い自動車アプリケーションの実現に貢献していると付け加えた。例えば、自動車メーカーは既にMIPI仕様を用いて、パッシブおよびアクティブセーフティのためのアプリケーションやADAS(先進運転支援システム)を開発、実装している。

アクティブセーフティ(衝突安全)やアクティブセーフティ(予防安全)、ADAS向けのアプリケーションの開発に、MIPIを使用している自動車メーカーもある(クリックで拡大)

 そのような仕様の例として、MIPI CSI-2(Camera Serial Interface 2)、MIPI DSI(Display Serial Interface)、MIPI DSI-2が挙げられる。これらは、カメラ、ディスプレイ、レーダー、マイク、加速度センサーといった部品を統合したさまざまな低帯域幅および高帯域幅の用途にとって、理想的な仕様であると、Ronning氏は説明した。

 30cm以下の短距離通信では、MIPI CSIが車載カメラ用途で最も幅広く採用されている一方、MIPI DSIが採用されるケースも増えつつある。自動車業界が求める安全性および信頼性の基準は、他の業界よりも厳しい。それ故、MIPIのEMIは、ミッションクリティカルで非常に繊細な自動車アプリケーションに、かなり適しているとRonning氏は語った。

 Ronning氏によると、毎年9000万台の自動車が生産され、その多くに8〜10台のカメラと、その他さまざまな部品が搭載されていることから、MIPIにとって自動車はスマートフォンに次ぐ2番目に大きな市場になっているという。Ronning氏は、「その点が、半導体メーカーや部品メーカーの関心を高める要因になっている」と述べる。

 BoFグループは、どうすればMIPI仕様を最大15mの通信距離までサポートできるようにするかに焦点を当てる。同時に、カメラやレーダーといったADAS(先進運転支援システム)に必要なセンサーの、高いデータレートにいかに対応するかも課題だ。「車載用途には、モバイルとはまた違う複雑さがある」とRonning氏は語った。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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