Gigadeviceの別の側面を見てみよう。図3は、中国DJIのジンバル/スタビライザー「OSMO」である。スマートフォンやカメラを装着すると、撮影時に動き回っても、水平を維持した映像を撮影することができる(弊社では現在、数種類のジンバルやスタビライザーを解析中だ)。
内部には、センサーで水平を求め、3軸(XYZ)方向の水平を作るためのモーターが搭載されている。各モーターには、ホスト基板からの命令に従って水平を維持するためにモーター制御を行う基板が備わっている。
図3は、3軸のモーター部の様子とカバーを取り外して内部の基板が見えるところまでを掲載した。基板は、モーター制御用のマイコンと、マイコンの出力をモーターに送るパワーMOSで構成されている。
図4は、3軸のモーター基板の1つを取り出した様子である(残り2基板も同じものが使われている)。基板には、シリアルフラッシュメモリで目にすることが極めて多い「G」のマークが刻印されている。つまりGigadeviceのARMコアを搭載するマイコン「GD32」が採用されているのだ!
中国製ARMマイコンが、DJI OSMOのような大型製品にも搭載され始めている。弊社ではこれ以外にも多くの製品でGigadeviceのARMマイコンを入手した。今や最も目にするマイコンの一角にGigadeviceのGD32は入り始めているのだ。
弊社は、ARMマイコンの市場を先駆的に立ち上げたSTMicroelectronoicsやAtmel(Microchip Technologyが買収)、NXP SemiconductorsらのARMマイコンも動作させ、さらに片っ端からチップ開封して、GigadeviceのARMマイコンとの比較を行っている。その上でGigadeviceのマイコンが今後も成長が続くだろうと思っている。コスト競争力があり、性能も引けをとらないからだ。
マイコンの核となるフラッシュメモリで実績を積み重ね、そこに汎用コントローラー(ARMなど)を組み合わせ、マイコン化する――。こうしたルートでマイコン市場に参入する可能性がある中国シリアルフラッシュメモリメーカーは、多々存在する。そこから第2、第3のGigadeviceが生まれてくるのは、時間の問題ではないだろうか。
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