DRAMの強いニーズを受け、Samsung Electronicsは半導体設備投資費を拡大する。2016年の113億米ドルから倍増し、2017年は260億米ドルとなる見込みだ。メモリに力を入れる中国にとっては、Samsungとの差がさらに大きく開く可能性もある。
Samsung Electronicsは今や、世界DRAM市場全体の約半分以上のシェアを占めている。米国の市場調査会社であるIC Insightsのアナリストによると、Samsungが、2017年の半導体部門の設備投資費を前年の2倍に増加させたことにより、小規模なライバル企業が壊滅的な打撃を受ける見込みだという。
Samsungの設備投資費は、2016年には113億米ドルだったが、2017年には260億米ドルにまで増大している。
同社は2017年10月に、四半期当たりの営業利益が過去最高となる14兆5000億ウォン(128億米ドル)に達したと発表した。メモリチップの価格が好調だったためだとしている。今後も、DRAMの価格が2017年第4四半期に、モバイルDRAM市場の強い需要を受けて約10%上昇する見込みであることから、強気な展望が続く見込みだ。
また、DRAM事業の統合が進んだことにより、SamsungとSK Hynix、Micron Technologyの3社だけで、世界市場全体の95%のシェアを占めるまでになった。中国は、世界のDRAM供給量全体の約5分の1を調達しているが、輸入への依存度を低減し、半導体業界における競争力を高めるべく、XMCのような、中国国内で新設されるメモリメーカーに対して、資金を提供している。
IC Insightsは、2017年11月15日付のレポートの中で、「Samsungの最近の投資熱によって、中国メーカー各社は、3D(3次元) NAND型フラッシュメモリ/DRAM市場において重要なプレーヤーになるという野望を、打ち砕かれることになるだろう。2017年のSamsungの設備投資費は、『中国の新興メモリメーカーにとって、既存の大規模なメモリメーカーとの間で何らかの合弁事業を立ち上げるなどしない限り、既存の大手サプライヤーと同じレベルで競争できる可能性はほとんどない』ということを示している」と述べている。
IC Insightsの最新の予測によると、2017年における世界半導体業界の設備投資費は、前年比35%増となる908億米ドルに増加する見込みだという。Samsungの2017年の設備投資費は、IntelとTSMCの設備投資費の合計金額を上回る見込みだ。半導体業界の中で最も設備投資費が多いのが、SamsungとIntel、TSMCの3社である。
IC Insightsによれば、Samsungの2017年第4四半期における半導体消費額は、86億米ドルとなる見込みで、業界全体の262億米ドルの33%を占めるとみられる。また、同社の2017年第4四半期における半導体売上高は、世界全体の約16%に達する見込みだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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