音声制御ICなどを手掛ける英国XMOSは、「Embedded Technology 2017(ET2017)/IoT Technology 2017」で、レーダーとマイクを組み合わせた音声認識システム向け開発ボードなどを展示した。
XMOS(エックスモス)は「Embedded Technology 2017(ET2017)/IoT Technology 2017」(2017年11月15〜17日、パシフィコ横浜)で、Amazonの音声サービス「Amazon Alexa」の認証を取得した開発ボード「xCORE VocalFusion 4-Mic Kit for Amazon AVS(Alexa Voice Service)」などを展示した。スマートスピーカーなどの用途向けとなっている。
同ボードは、線形のアレイマイク(リニアマイク)を備えていることが特長だ。Amazon Alexaのような音声アシスタント機能を搭載したスマートスピーカーが市場に投入され始めているが、多くの製品は丸い形をしている。XMOSの日本法人でカントリー・マネージャーを務める大川崇氏は、「将来的にスマートスピーカーの形は、壁に取り付けられるように線形になっていくのではないか。その方が電源コードも見えない所に収納できる」と説明し、リニアマイクの必要性を語った。
スマートスピーカーをはじめ、音声を利用する機器で課題の1つになっているのが、TVなどの音声に反応してしまうことだ。例えばTVドラマの登場人物が「牛乳を買ってきて」と言った場合、スマートスピーカーがそれを自分への命令だと勘違いして牛乳を注文してしまう可能性もある。牛乳を注文するくらいならまだいいが、産業機器の場合、もっと深刻な事態になることもあり得る。それを防止する手段の1つとして、マイクとレーダーの併用が考えられているという。マイクで音声を、レーダーで人を検知し、人の位置と声がした方向が一致すれば、「TVからの声ではなく、そこにいる人が発している声だ」と判断する仕組みだ。
XMOSは、Infineon Technologies(以下、Infineon)と提携し、上記のような用途で使用するデバイスを開発中だ。Infineonのレーダーおよび半導体マイク向けセンサーと、XMOSの音声プロセッサを組み合わせ、音声ビームフォーミングとレーダーによって、音声を発した人間の位置を特定し、音声を捉える。これにより、TVの音声との聞き分けはもちろん、複数の人間が話している場合の音声を聞き分けることもできる。なお、Infineonは2017年9月、XMOSに戦略的投資を行ったと発表している。
大川氏は、「AI(人工知能)が集める情報の1つとして声、音が入ってくるだろう。(AmazonやGoogleといった)大手ハイテクメーカーからスマートスピーカーが次々と発売されているし、既に市場は形成されているという印象を受ける。XMOSは、リニアマイクや、ステレオスピーカーに対応できる音声プロセッサなど、市場のニーズに応えられる製品を今後も開発していく」と語った。
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