次に登壇したのは、ADIパワープロダクツのシニアバイスプレジデントを務めるSteve Pietkiewicz氏。「μModule:その舞台裏を紹介する」をテーマに講演した。旧リニアテクノロジーが「μModule」の事業を始めたのは2007年のことである。設計チームと製造チームが開発の初期段階から緊密に連携することにより、高い電力密度を達成しつつ、優れた品質と信頼性を実現した。
μModuleパワー製品の特長の1つは、SiP(System in Package)技術により、電源回路を小型化したことである。低損失のパワーインダクターをμModuleパワー製品に積層し、ヒートシンクとして機能させることもできる。小型で電力密度が高いμModuleパワー製品は、FPGA搭載ボードの省スペース化に貢献するなど、顧客から高い評価を得ているという。
ADIは、定格電流など全ての仕様を保証するために、熱解析などさまざまな検証や特性試験を徹底して行っている。これら特性試験の模様や試験で得られたデータは、Web上で開示している。
μModuleパワー製品では、パッケージ技術が重要となる。同社は従来に比べて2倍の放熱特性を実現するヒートシンク付きパッケージや、厚みを2mm以下とすることで基板裏面への実装を可能にした薄型パッケージ、さらには、CoP(Component on Package)など、革新的なパッケージを市場に投入している。
2018年春〜夏に発売予定の開発品についても、その一部を紹介した。CoPを採用した「LTM4700」は、出力電流100Aを達成しているという。一方で、極めて小さいパッケージサイズの製品も開発中である。15A出力の降圧レギュレーターICで、4年前の製品「LTM4627」は外形寸法が15×15×4.92mmであった。これに対し開発中の「LTM4638」は、同等性能で6.25×6.25×5.02mmまで小さくすることに成功した。
独自のスイッチングノイズ抑制技術「Silent Switcher(サイレントスイッチャ)」についても触れた。逆位相となる2つのホットループ(磁界ループ)を作り、これが互いの磁界を打つ消し合うことでEMI(電磁妨害)を抑える技術である。効率やフットプリントを犠牲にすることもないという。
例えば「LTM8063」は、Silent Switcher技術を搭載することで、EMI規格「CISPR22 Class B」を満たした。なお、Silent Switcherは降圧型だけでなくあらゆるレギュレーターIC適用できる技術だという。
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