同社は既に、機械学習モデルを採用することにより、新しい店舗の建設予定地や、既存店舗の改築、移転方法などを判断する上でのサポートとして活用しているという。しかし、このようなモデルは、入力されたデータを、データサイエンティストが読み取っているのと同じようなレベルにすぎないといえる。
Walmartのデータサイエンティストの1人は、別のインタビューの中で、「今のところ、当社が取り組んでいる問題のうち、ディープニューラルネットワークの対象として適しているのは、全体の約10%程度にとどまる。その理由は、当社のデータが、体系化されていないリレーショナルデータであるためだ。にもかかわらず、大量のGPUサーバを維持しながら、機械学習モデルのトレーニングを行っているという状況にある」と述べる。
一方、Walmartの流通センターでは、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、コンピュータビジョン、ロボット工学、ドローンなどを組み合わせる手法も模索している。Enslin氏は、「流通センターでは、コンピュータビジョンをさらに強化し、ドローンと組み合わせることにより、取引状況や商品を検査、監視できるようになってきている」と語った。
「コンピュータビジョン搭載ロボットは、人間が立ち入ることが難しい場所にも入って行ける。そこからデータを取り出して、AR/VRモデルに入力すれば、流通センターで働く技術者やエンジニアたちのトレーニングを行うことができる」(同氏)
またWalmartは、ソフトウェアレベルでは既に、数百個のチャットボットを導入し、低レベルの仕事の自動化をサポートしている。さらに、これらのチャットボットを監視するためのチャットボットも開発したという。
ソフトウェアプログラムでは、膨大な作業の中でも、特にトランザクション処理を取り扱う。このため調達の専門家たちは、新しい調達先を発掘したり、もっと良い条件で契約を結ぶなど、より高いレベルの業務に集中できるようになるだろう。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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