続いて、同社テクノロジー・メディア・テレコム部門のシニアアナリストを務める杉山和弘氏が、「IoTや自動車市場をめぐる半導体〜各メーカー動向から読む新たな半導体の始動」というテーマで講演した。
自動車の生産台数は2020年に1億台と予測されている。このうち90%以上はガソリン車が占める。EVやHEV、PHEV(プラグインハイブリッドカー)、FCV(燃料電池電気自動車)といった、いわゆる新エネルギーカーは10%未満にとどまる予測だ。
自動車1台当たりの電子システム売上高は、2022年までに平均で1500米ドルを超えるとみている。サプライヤー別で見ると、自動運転を含むADAS(先進運転支援システム)関連の電子部品を供給しているサプライヤーの伸びが高いという。
半導体デバイスを製品別に見ると、マイコンやロジックIC、アナログICなど全ての製品が成長を続ける中で、とりわけオプティカルセンサーは2ケタの成長を示すという。用途別にICの出荷額を見ると、エンジン制御用は2020年以降にフラットとなる予測だ。これに対してHEV、EV制御向けの出荷額は続伸し、2022年には30億米ドルを超える見込みである。
自動車は、自動運転と同時にIoT化も進展する。このため、並列演算による情報処理や、5Gなどの通信制御を行う半導体デバイスなどが新たに必要となる。エンジン制御など従来領域ではNXP SemiconductorsやInfineon Technologies、ルネサス エレクトロニクスなどが高いシェアを持つ。これに対して、クラウドとの通信やエッジコンピューティングなどの領域には、新たなプレイヤーが参入する。例えば、QualcommやNVIDIA、Intel、Mobileyeなどである。
制御技術と情報通信技術を得意とするそれぞれの半導体メーカーは、自動車メーカーやTier1メーカーと連携、協業しながら、自動運転を可能とするコネクテッドカーの実現を目指すなど、「開発スキームやサプライチェーンも従来とは大きく変化している」と語った。
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