今回は、一般社団法人組込みシステム技術協会(JASA)で検討を進めてきた感情とIoT(モノのインターネット)を融合させた新しいサービスモデルである「エモーションドリブンサービスモデル」について提案する。
一般社団法人組込みシステム技術協会(以下、JASA)IoT技術高度化委員会内の「エモーションワーキンググループ(WG)」では、人の感情(エモーション)に着目し、「エモーションドリブンサービスユースケースの研究」と「エモーションキャッチセンサーとデータの研究」を行っている。今回は、エモーションWG内で検討した感情とIoT(モノのインターネット)を融合させた新しいサービスモデルである「エモーションドリブンサービスモデル」について提案する。
エモーションドリブンとは、エモーション(感情)をトリガー(入力)として動作(ドリブン)することである。ITシステムはデマンド(要求)ドリブン型システムからイベント(行動)ドリブン型システムへ、そしてエモーションドリブン型システムへとより人間の心理面に着目した形でシフトしてきている。エモーションドリブンモデルを実現するには、人の感情、つまりエモーションを感知する仕組みを構築することが重要になる*1)。
*1)参考URL:https://it.impressbm.co.jp/articles/-/12539
エモーションセンシングに関する世の中の動向、期待値を説明するために、エモーションセンシングに関する最近の事例を紹介する。
2017年10月3〜6日に幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN2017において、パナソニックが「カメラ」と「サーモカメラ」で得られる複数の生体情報から人の感情や体調を推定する技術を発表した*2)。
*2)参考URL:https://industrial.panasonic.com/jp/products-ex/ceatec2017co/sensing
この技術を使用することで、以下のようなサービスを実現しようとしている。
また、2017年9月1〜6日にドイツ・ベルリンで開催されたIFA2017のセミナーにおいて、EMOTIVが「Next Level of Thinking」と題し脳波センサーの紹介を行った*3)。
*3)参考動画:IFA+ Summit 17: Erica Warp - Brain Wearables, 4 Sept 2017, The Next Level of Intelligence
セミナーの内容は、「現在、行われている画像や音声認識の次のステップとして、感情や脳波のセンシング技術が重要になってくる。EMOTIVでは、脳波を人工知能(AI)が解析し、その結果に基づきコンピュータが作動するという技術を最先端として研究をしている」とのことであった。
さらに、カメラセンサーや脳波センサーのようなセンサーデバイスではなく、クラウドサービスとしてもエモーションを感知するサービスが提供されてきている。例えば、Microsoft Azureでは、エモーションを認識するクラウドサービスとしてEmotionAPIを公開している。
EmotionAPIを介して画像をクラウドに送信すると、写真から人間の顔を検知し、検知した人間の表情がどんな感情のものなのか数値化でき、簡単に画像を利用した感情識別を試すことが可能である*4)。
*4)参考URL:https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/cognitive-services/emotion/
紹介したこれらの事例のように、エモーションセンシングは近年の注目技術となっている。
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