現在、スマホなどに搭載される指紋センサーはシリコン基板を用いたものが一般的で、「現時点で、ガラス指紋センサーは量産しているメーカーはない」(湯田氏)という状況。ガラス指紋センサーは、透明であり、指紋センサーの下にバックライトやディスプレイを配置できるというメリットがある他、曲面形状に対応できるフレキシブル性や大型化しやすいといったシリコン指紋センサーにはない特長を備える。
事業説明会で公開されたガラス指紋センサーは8.0×8.0mmサイズで、解像度は160×160、精細度は508ドット/インチ(dpi)。「シリコンによる指紋センサーと同等感度」(湯田氏)とし、価格に関しても「シリコンに比べて高いわけではない。センサーサイズにもよるが、シリコンよりも安い場合もある」(同)とする。なお、量産については、東浦工場(愛知県東浦町)の3.5世代ガラス基板(600×720mmサイズ)対応製造ラインで実施するという。
2018年中に量産出荷分の仕向け先については「明かせない」としながらも「スマートフォン向けではない」とした。
ガラス指紋センサーは、ベゼルレス(額縁なし)ディスプレイを採用したスマートフォンでの応用が期待されるが「スマホの全画面サイズへの対応は、技術的には確立できているものの、現状では(追加の)開発が必要で(適用は)難しい」との見解を示し、当面はスマートカードなど指紋センサーとしての新規用途の開拓や、シリコン指紋センサーの置き換えを狙う方針だ。
また、ディスプレイソリューションズカンパニーでは、新規事業として電子ペーパーなどの反射ディスプレイ事業の立ち上げも実施している。2018年1月15日には、業務提携を結ぶE inkと共同で、幅30cmに及び、3色表示が可能な電子棚用高精細電子ペーパー(198ピクセル/インチ[ppi])の開発を発表し、2018年夏からの量産出荷を予定している。
湯田氏は、既存の4つの事業(デジタルカメラ向け、ウェアラブル向け、VR向け、ハイエンドノートPC向け)に指紋センサーと反射ディスプレイの新規事業2つを加えた6事業の売り上げ規模がほぼ同じ状態で、2020年度の売上高目標である1000億円を達成したいとの意向を示し、新規2事業についても急ピッチで事業を立ち上げていく方針だ。
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