光学機器・光学デバイス分野では、一般車両用ドライブレコーダーの世界市場が2022年に約5900億円へ、車載カメラモジュールが約4300億円規模に達する見通しだ。重大事故の増加や自動運転への対応などによって需要が拡大する。
富士キメラ総研は2018年2月1日、光学機器・光学デバイス関連の世界市場に関する調査結果を発表した。車載用途などを中心に、需要は今後も堅調に推移する見通しだ。
【訂正あり】この記事には、掲載当初から訂正した箇所があります(2018年6月27日午後16時20分)
富士キメラ総研は、上記市場の2017年見込みと2018年以降の予測を、「2018イメージング&センシング関連市場総調査」にまとめた。それによると、2017年における光学機器の世界市場(生産ベース)は、2016年比6.8%増の8兆4296億円が見込まれている。主力分野は監視カメラなどの「社会インフラ系カメラ」と、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの「情報入出力機器」である。今後は社会インフラ系カメラ分野において高い伸びが期待され、2022年に光学機器の市場規模は11兆1185億円になると予測した。
2017年における光学デバイスの世界市場は、光学ユニットを中心に、前年比9.5%増となる6兆3798億円の見込みである。今後は車載カメラモジュールなど車載用途の需要が増加する。特に車載用途は高水準で推移する見通しで、エリアイメージセンサーや物体との距離を測定するTOF(Time of Flight)センサーなど、センシング領域で半導体デバイスの伸びが期待される。この結果、2022年には光学デバイス全体で9兆7229億円の市場規模を予測している。
【訂正】富士キメラ総研より、「記事初出時、光学デバイスの世界市場に関する数値に誤りがあった」と申し出があったため、文中の数値および上図を差し替えました。(2018年6月27日午後16時20分)
光学機器・光学デバイス関連の中で、同社が注目している分野は3つだ。1つ目は「一般車両用ドライブレコーダー・ダッシュカム」分野である。2017年の市場規模見込み(生産ベース)は3909億円(前年比10.5%増)。これに対して、2022年は5902億円と予測する。高速道路などで運転者同士のトラブルなども増加しており、走行中に車両周辺や車室内の状況を、自動録画するために用いられている。後方の撮影も可能な全方位タイプの需要が拡大しているという。
2つ目は、「車載カメラモジュール」分野である。安全な運転を支援するためのビューイング機能にとどまらず、自動運転を実現するための重要な技術として注目されている。2017年見込み2610億円(前年比19.4%増)に対して、2022年の市場規模は4367億円と予測する。
3つ目が、CMOSタイプやCCDタイプの「エリアイメージセンサー」分野である。現在はスマートフォン向けが需要をけん引する。スマートフォンでは、モバイル決済に向けてセキュリティ機能などが強化されており、虹彩認証向けなどに引き続き需要は拡大する見通しである。
ポストスマートフォンとして期待されている市場が車載分野である。サラウンドビューや電子ミラーなどの用途で需要が拡大する。2017年のエリアイメージセンサー市場は2017年に1兆2800億円が見込まれている。前年に比べると10.2%の増加である。これが2022年には1兆7400億円の規模になると予測する。
富士キメラ総研は、2017年10〜12月に専門調査員によるヒアリングおよび、関連文献、データベースを活用して、光学機器・光学デバイスに関する調査・分析を行い、今回の調査報告書をまとめた。調査では、光学機器を民生機器や社会インフラ系カメラなど4分野19品目、光学デバイスを光学ユニットや半導体デバイスなど4分野29品目に分けて分析した。
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