Cooley氏は、Wi-Fiが適するIoTのユースケースがようやく出てきたと強調する。
ただし、現在市場に普及しているWi-Fiモジュールは、必ずしもIoTに適しているわけではないと、同氏は述べる。「Wi-Fiモジュールは、より小型化する方向に進んでいるが、IoT向けとしてはそれだけでは足りない。われわれは、既存のWi-Fiモジュールには4つの要素が不十分であると考えた。セキュリティ、信頼性、消費電力、サイズだ」(Cooley氏)
特にセキュリティでは、Wi-Fiトランシーバーで動作するファームウェアの真正性を確認する「Secure Boot」機能と、ホストプロセッサとWi-Fiトランシーバーのシリアルリンクを暗号化する「Secure Link」機能、デバッグポートへの不正なアクセスを防止する「Secure Debug」機能を搭載することで、安全性を強化した。
Silicon Labsの既存の無線モジュールやマイコンファミリー「Gecko」に使われている低消費電力
技術を最適化することで、低消費電力を実現した。Cooley氏は「他社品と比較すると、最大で約半分の消費電力となっている」と述べる。
WF200とWFM200は現在、特定の顧客向けにサンプルを出荷中で、量産出荷は2018年第4四半期の予定だ。
IoT向けの通信規格には、BLEやZigBee、Threadなどの他、SIGFOXなどのLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークも存在する。Cooley氏は、「Wi-Fiも含め、IoT向けではたくさんの無線規格が共存していくと考えている。有線の世界では、USBやEthernetが主流でありつつ、多くの規格が存在しているが、それと同様だ。主流となるものが出てくるとは思うが、どれかがどれかを淘汰していくわけではない。例えばBluetoothが使われなくなるということは、ないだろう。Wi-FiがLTEや5G(第5世代移動通信)を淘汰することもないだろう。ユースケースに合わせて共存する状態になると、無線技術の専門家としては思う」との見解を述べた。
「IoT向け無線市場で競争の激化があるとすれば、それは物理層ではなくアプリケーション層になるのではないか。ハードウェアではなく、ソフトウェアの競争だ。アプリケーション層は、多数の規格が混在する状態にはならないだろう」(Cooley氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.