Digilentは「embedded world 2018」で、組み込みビジョン向け開発ボードや、手のひらサイズのロジックアナライザーなど、同社の主要製品を展示した。
米Digilentは「embedded world 2018」(2018年2月27日〜3月1日、ドイツ・ニュルンベルク)で、組み込みビジョン向け開発ボードなどを展示した。
Digilentは2000年に設立されて以来、教育向けや機器メーカー向けの設計ツールの開発、提供を手掛けてきた。さらに、2013年には計測器メーカーのNational Instruments(NI)がDigilentを買収し、現在はNIの完全子会社として事業を行っている。NIも、将来のエンジニアを育てる目的で、学生向けデータ収集製品「myDAQ」を高校に無償で提供するなど、アカデミックプログラムにも力を入れている(関連記事:「イカの動きがヒントに! ポケットサイズの制御機器を使った水中ロボット」)。
Digilentの製品は現在、70カ国以上、2000以上に上る大学などの教育機関で使われている。日本では、慶応義塾大学や東京工業大学の研究室がDigilentの評価ボードを使っていて、実際に研究成果を国際学会などで発表している。
embedded world 2018で展示した組み込みビジョン向け開発ボード「Zybo Z7」は、XilinxのプログラマブルSoC(System on Chip)「Zynq-7000」ファミリーをアクセラレーターとして搭載しているのが特長の1つだ。デモでは、MIPI CSI-2インタフェースを備えた5Mピクセルのカメラモジュール「Pcam 5C」をZybo Z7に接続し、リアルタイムで撮影しているHD(高品位)動画のデータをZybo-Z7で処理して、HDディスプレイに表示していた。Zybo Z7は、動画データのエッジ検出、グレースケールへの変換、色調反転などの処理を高速に行う。
DigilentでInternational & Distribution Sales Managerを務めるAlex Wong氏は、「Zybo Z7は、Zynq-7000を搭載しながらも約200米ドルと極めて低コストに抑えている。同等レベルのSoCやFPGAを搭載した開発ボードには、数千米ドルの価格帯の製品もある」と説明する。「大きなトレンドとなっている組み込みビジョンを、PoC(Proof of Concept)などから手軽に試してもらいたいという狙いから、低価格のZybo Z7を開発した」(同氏)
持ち運べる大きさの簡易的なロジックアナライザー「Digital Discovery」も展示した。24チャンネルのロジックアナライザーと、16チャンネルのパターンジェネレーターの機能を組み合わせている。Digital Discoveryは、組み込み機器の開発において、デジタル信号をデバッグしたり、シミュレーションしたりすることができる。サンプリング速度は、ロジックアナライザーは最大800Mサンプル/秒(MS/s)、パターンジェネレーターは最大100MS/sとなっている。Wong氏は「Digital Discoveryを使えば、設計のときに、毎回ラボに行く必要がなくなる」と説明する。
小型のI/Oインタフェースボードである「Pmod」も展示した。Wi-FiやBluetooth Low Energy(BLE)などのワイヤレス通信機能を搭載したPmod、CAN(Controller Area Network)コントローラーを搭載したPmodなど、さまざまな種類のPmodがあり、これを開発ボードに接続するだけで、必要な機能を簡単に追加できる。
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