パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、業界最高レベルの耐静電気放電(ESD)特性を実現した小型、高精度の薄膜チップ抵抗器を製品化した。
パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2018年3月、業界最高レベルの耐静電気放電(ESD)特性を実現した小型、高精度の薄膜チップ抵抗器を製品化したと発表した。車載ECU(電子制御ユニット)や産業ロボットに用いられる電源ユニット、制御回路などのESD対策用途に向ける。
新製品は、チップサイズが1005タイプの「ERA2Vシリーズ」に加え、1608タイプの「ERA3Vシリーズ」、2012タイプの「ERA6Vシリーズ」も用意していく。それぞれ定格電力は0.063W、0.1W、0.125W。素子最高電圧は25V、75V、100V。抵抗値範囲は47〜100kΩ、47〜330kΩ、47〜1MΩである。2018年6月より量産を始める予定。
特に、ERA2Vシリーズは、HBM(人体モデル)で1kVのESD耐性を達成、同社従来品(ERA2Aシリーズ)に比べて2.5倍以上の耐性を実現した。抵抗温度係数は±5×10-6/℃、抵抗値許容差は±0.05%である。小型の薄膜チップ抵抗器はこれまで、瞬間的な過電圧で壊れやすかったという。新製品は独自の薄膜形成技術を用いることで、過電圧による局所的な電圧負荷を低減した。
耐熱衝撃性も改善している。線膨張係数の違いによる熱応力を吸収するため、電極の内部に緩衝層を設ける独自構造を採用した。これによって、車載用途など温度変動が激しい利用環境においても、部品の電極と基板の銅線パターンを接合する「はんだフィレット」部に生じる亀裂の進行を抑えることができるという。対応する温度範囲は−55〜155℃と広い。
自動車の排ガスなどに含まれる硫黄成分への耐性も向上させた。硫化耐性に優れる電極材料の選定や独自の工法を用いることで、高い硫化ガス耐性を実現した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.