ローデ・シュワルツ・ジャパンは「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」で、「タイムドメイン・スキャン機能」を標準搭載したEMIテストレシーバー「R&S ESW」を展示した。同機能により、EMI試験で時間がかかるプロセスであるステップ掃引を、大幅に短縮できる。
ローデ・シュワルツ・ジャパンは「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」(2018年4月18〜20日、幕張メッセ)で、EMIテストレシーバーのフラグシップ製品「R&S ESW」(以下、ESW)を展示した。
ESWは、周波数範囲が2Hz〜8GHz、2Hz〜26.5GHz、2Hz〜44GHzの3製品がある。「主な周波数範囲はカバーできている」(同社)とする。感度は、プリアンプ使用時で−160dBm(40GHz時)。
ESWの最大の特長の1つは、新しい「タイムドメイン・スキャン機能」である。EMI試験を、CISPRで規定されている通りに測定すると、特にQP検波(準尖頭値検波)に膨大な時間がかかる。ローデ・シュワルツ・ジャパンの説明員は、「1つの測定ポイントにつき、一定時間をかけて周波数を測定する必要があるため、3時間や10時間、長いときには100時間に及ぶ場合もある」と説明する。
ESWに標準搭載されているタイムドメイン・スキャン機能は、時間データにFFT(高速フーリエ変換)をかけて周波数に変換することで、CISPR通りに測定した場合と、全く同じ測定値を出すことができる。これにより、測定時間が飛躍的に短縮する。例えば、CISPR バンドB(150kHz〜30MHz)/RBW(分解能帯域幅)9kHzにおいて、PK/QP/CISPR AVG MT=1秒にて測定した場合、ステップ掃引時間が、従来の3.6時間から2秒に短縮される。同様に、CISPR バンドC/D(30MHz〜1GHz)/RBW(分解能帯域幅)9kHzにおいて、PK/QP/CISPR AVG MT=1秒にて測定した場合、ステップ掃引時間が100時間から80秒になるという。
EMI試験では、CISPR 16-1-1(3rd edition)から、タイムドメイン・スキャン機能の使用が認められるようになった。「新しい機能を使うことをためらう方もいるかもしれないが、CISPRで規定されているので安心して使ってほしい」と、ローデ・シュワルツ・ジャパンは述べている。
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