Armは、新型プロセッサIP「Arm Cortex-M35P」の提供を始める。物理的な攻撃からICチップを保護する機能を搭載した。
Armは2018年5月、物理的な攻撃からICチップを保護することができるプロセッサIP(Intellectual Property)「Arm Cortex-M35P」を発表した。また、暗号化機能を組み込んだセキュリティIPも、「サイドチャネル攻撃(SCA)」に対する保護機能を強化した。
Armは、以前からセキュリティの重要性を強調してきた。同社のArm IPは、IoT機器の市場拡大に伴い、その出荷数が急増している。ネットワークに接続されたIoT機器をユーザーが安全に、安心して使えるようにするためには、ICチップも設計の時点からより強固なセキュリティ対策を施す必要があるからだ。
同社はこれまで、スマートカード/クレジットカード向け「SecureCore」プロセッサで多くの採用実績を持つ。また、セキュリティ技術「TrustZone」を搭載することによって、堅固なソフトウェアの隔離を実現してきた。近年は、全てのIoT機器で共通して適用すべきセキュリティ対策の枠組みとして「PSA(Platform Security Architecture)」を提唱し、その整備を進めている。
Arm Cortex-M35PもPSAの理念を踏襲するなど、セキュリティポートフォリオの延長線上にある製品として開発した。特に、暗号を演算しているICチップの消費電力や電磁場放出などから情報を取得するサイドチャネル攻撃などに対し、物理的な改ざんを阻止する機能を新たに組み込んだ。
同社が提供する複数のセキュリティ技術を活用することで、組み込みシステム技術者は比較的容易に、より高度なセキュリティ対策を施したIC設計が可能となる。セーフティパッケージも用意しており、自動車用機能安全規格「ISO 26262」に対応することができる。
さらに、セキュリティIP「CryptoCell-312P」とその上位版「CryptoIsland-300P」でも、サイドチャネル攻撃に対する保護機能を新たに追加した。これにより、さまざまな攻撃に対する耐性を強化することができるという。
なお、物理的な攻撃に対する耐性を高めた全てのIP製品は、型番の末尾に「P」の文字が付加されることになっている。
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