中国・上海で、2018年6月26〜28日の3日間にわたりパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Asia 2018」が開催された。三菱電機の中国法人は「5〜10年前では考えられないほど市場が伸びて、プレイヤーも増えてきている」と語る。SiC(シリコンカーバイド)パワーデバイスを手掛けるメーカーも増えてきた。PCIM Asia 2018の様子をレポートする。
中国・上海で、パワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Asia 2018」(2018年6月26〜28日、上海世界博覧会展覧館2号館)で開催された。2017年のPCIM Asiaでは、7000m2の敷地面積に、84社が出展。5600人の来場者が集まった。今回は、敷地面積を前年比で12%増加させて行い、91社が出展。来場者は5388人だった。出展社は中国メーカーが圧倒的に多いが、三菱電機、富士電機、東芝、ロームなどの日本メーカーや、Infineon TechnologiesやAnalog Devicesといった欧米メーカーも、それぞれ現地の法人が出展している。
富士経済が2018年3月に発表した調査によると、2017年のパワー半導体市場は2兆7192億円。2016年は2兆4239億円だった。富士経済によれば、中国での需要増加などが、市場の成長要因の1つであったという(関連記事:パワー半導体市場、2030年に4兆6000億円台へ)。
三菱電機の中国法人Mitsubishi Electric & Electronics(Shanghai)でゼネラルマネジャーを務める楠真一氏は、中国のパワーエレクトロニクス市場について、「5〜10年前では考えられないほど市場が伸びて、プレイヤーも増えてきている」と語る。「現在はハイエンド品については、(中国にとっての)外国勢が高いシェアを持っているが、中国としては今後、自国でいろいろなモノを製造していこうとする方向にある。例えば、FA(Factory Automation)で使用されるロボットアームや、その制御などに使うチップも、中国メーカーで開発、製造しようとしている。そういった動きが活発になっている。パワーデバイスは何にでも使われるので、間違いなく、中国メーカーは今後成長していくとみている」(楠氏)
Mitsubishi Electric & Electronics(Shanghai)でマーケティングセンターのシニアディレクターを務めるQian Yu Feng氏も、同様の見解を示す。「例えば溶接機や汎用インバーター、さらにサーボ機構の分野でも、中国メーカーの台頭が目立っている」(Qian氏)。楠氏は、「サーボ機構は難しいので、それができるメーカーが出てきたということは、中国メーカーが力を付けてきたということだ」と続けた。
楠氏は、「パワーエレクトロニクスに対する要件も、日本と中国では似てきている。日本はカスタマイズ品を、中国はより汎用性の高いものを要求するという違いはあるが、信頼性や品質についても中国からの要求は高くなってきていて、昔ほどのギャップがなくなったという印象を受ける」と語った。
現在、Mitsubishi Electric & Electronics(Shanghai)は、民生分野ではエアコン、産業分野ではFA、地下鉄や高速鉄道、太陽光発電などの新エネルギー、EV(電気自動車)の市場に注力している。中国の地元メーカーが台頭する中、楠氏は「中国でのマーケット活動を強化するとともに、次はどの分野が成長していくのか、とにかく先のマーケットを読んでいくことが、より重要になる。これまでのように、“良い製品を作っていれば売れた”という時代では、確実になくなっている」と強調した。
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