米国の半導体調査会社であるObjective Analysisで主席アナリストを務めるJim Handy氏は、「NORフラッシュがダッシュボードに採用されているのは、基本的な機能を即座に立ち上げることが可能なインスタント・オンを備えているからだ」と述べる。
「NORフラッシュは、既にさまざまな自動車部品に搭載されている。サブシステム向けとしても優れているため、今後もその用途はさらに拡大していくだろう。コードがほとんど存在しない場合は、NORフラッシュを内蔵するマイコンを使用することになる。しかし、より高性能なシステムの場合は、大量のコードが存在するため、外付けNORフラッシュが必要になる。自動運転機能を持つ既存のクルマは、ほぼLiDAR(ライダー)を搭載している。どのLiDARもNORフラッシュを搭載していて、内部のさまざまな機能を制御するという傾向にある」(Handy氏)
かつては、NAND型フラッシュメモリがNORフラッシュを追いやることになると予測されていた時期もあった。だがNORフラッシュは、そうならなかった。
いくつかある理由の1つに挙げられるのが、コストである。Handy氏は、「NANDフラッシュは、大量のデータを保存する必要があるアプリケーションで性能を発揮するが、例えばコードの量が少ないアプリケーションの場合、50米セントでNORフラッシュを調達することはできても、NANDフラッシュは難しい。チップについても、NORフラッシュの方がより経済的に製造できる」と説明した。
一方、車載向けNANDフラッシュでも、NORフラッシュのように熱に対応することができない上、極めて重要な自動車向け用途に対する信頼性を十分に備えているとは言い難い。MacronixのLe氏は、「NORフラッシュの重要な特長として、寿命が挙げられる。車載向けの部品では、10年以上のサポートを要求されることもある」と述べた。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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