AGCとNTTドコモ、エリクソン・ジャパンは、新開発のオンガラスアンテナを装着した車両が時速100kmで走行している時に、5G(第5世代移動通信)システムを用いて、最大8Gビット/秒の高速通信が行えることを確認した。
AGCとNTTドコモ、エリクソン・ジャパンは2018年7月、AGCが開発した「車両ガラス設置型アンテナ(オンガラスアンテナ)」を装着した車両が、時速100kmで走行する時に、5G(第5世代移動通信)システムを用いて最大8Gビット/秒(bps)の高速通信が可能なことを確認したと発表した。
5Gコネクテッドカーの実現を目指した実証実験は、国土技術政策総合研究所(茨城県)のテストコースを用いて、2018年6月28日〜7月25日に行った。実験に用いた車両は「NISSAN GT-R」で、使用する周波数帯は28GHz帯(帯域幅732MHz)である。実験では、AGCがオンガラスアンテナの設計と開発を、NTTドコモは実証実験全体の企画、開発と5Gエリアの設計を、エリクソンは5G基地局装置や移動局装置の提供と運用を、それぞれ担当した。
車両に装着したオンガラスアンテナは、フロントガラスなどに設置できるよう新たに開発した28GHz帯対応の5Gアンテナである。電波を特定方向に集中させる「ビームフォーミング機能」や、複数アンテナを用いて通信速度を向上させる「MIMO機能」を利用して、5G電波の送受信を行うことができる。これにより、高速走行中の車両でも安定した高速通信が可能となる。しかも、オンガラスアンテナは外観から見えにくいため、車両のデザイン性を損なうことがないという。
実証実験では、直線区間が約2.2kmのテストコースを利用し、オンガラスアンテナと5G移動局を搭載した実験用車両を高速走行させた。実験用車両には今回、フロントガラスと両サイドのリアクオーターガラスそして、リアガラスに合計8素子のオンガラスアンテナを取り付けた。一方、コース脇には3台の5G基地局が設置されており、基地局と移動局の間で周波数28GHz帯を用いた5Gデータ通信の検証を行った。
実験では、垂直・水平偏波に対応した最大4ビームによるビームフォーミング機能と、MIMO機能を組み合わせて受信した。この結果、時速約100kmで走行中でも最大8Gbpsの高速通信が可能であることを確認した。時速約30kmで走行中には最大11Gbpsの通信速度が得られることも分かった。
AGCとNTTドコモ、エリクソンは今後も、5Gコネクテッドカーの実現に向けて、車載通信モジュールなどにおける5Gの活用に取り組む予定である。
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