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5G向け製品が百花繚乱、実用化に近い形で展示MWC 2018(1/2 ページ)

2017年の「MWC(Mobile World Congress)」では、ユースケースの議論や展示が多かった5G(第5世代移動通信)だが、今回の「WMC 2018」では、より実用化に近い形でのチップやアンテナの実装例が展示されていた。

» 2018年03月19日 11時30分 公開
[Junko YoshidaEE Times]

5G向けプロトタイプの展示が多数

 「Mobile World Congress(MWC) 2018」が、スペイン・バルセロナで2018年2月26日〜3月1日に開催された。通信事業者や技術メーカー各社は、2017年12月に策定が完了した、5G(第5世代移動通信)の無線方式「5G NR(New Radio)」の標準仕様である「Release 15」をしっかりと携え、5Gチップやアンテナ、相互運用性の試験結果、新しい協業関係の構築、5Gの商用展開など、さまざまな発表を行った。

「MWC 2018」の会場の様子

 モバイル業界は、早ければ2019年にも5Gネットワークを立ち上げ、稼働を開始することを目指している。

 しかし、このような素晴らしい発表の裏側では、5Gネットワークを独自に展開していく上でミリ波周波数帯に依存しなければならないセルラー通信事業者たちが、これまでにない設計や検証、実装などに関するさまざまな問題への取り組みを進めているさなかにある。

 Keysight Technologiesの通信部門担当戦略計画マネジャーを務めるMichael Griffin氏は、「6GHz未満の周波数帯では、信号の品質だけを心配すればよい。だがミリ波では、“信号がどこにあるのか”ということを、まず心配しなくてはならない」と述べている。ミリ波帯の電波は、伝搬損失が大きいことや、指向性、障害物の影響を受けやすいといったデメリットがある。

 MediaTekのプレジデントであるJoe Chen氏は、EE Timesのインタビューに応じ、「当社は現在、5Gに多額の投資を行っている。4Gでは後れを取ってしまったが、当社のモデム開発チームはその後、さまざまな取り組みを成し遂げてきた。今後は、業界トップクラスの5G技術に十分ついて行けるとみている」と述べる。

 Chen氏はさらりと述べたが、ミリ波帯を扱うとなると、4Gのシステムあるいはチップ設計とは根本的に異なる技術進展が求められる。信号の指向性が非常に高く、損失も大きいことなどから、ベンダー各社は、マルチアンテナを開発する必要がある。

 MediaTekのChen氏は、ユーザーがスマートフォンをどのように持っているか、体からどれくらい離して持っているか、通話中に歩いているかどうか、などの状況によって、簡単に信号損失が発生する可能性があるということを認めている。

RF設計やアンテナアレイの実装

 モバイル業界は、携帯端末内部のRF設計や、アンテナアレイを実装する位置について、知識を得る必要がある。

 Intelは自社ブースにおいて、「業界初」(同社)となる5G対応の2-in-1のコンセプトPCを披露した。来場者たちは、その独自のアンテナ配置に驚きを隠せなかったようだ。同社の試作品には、PCの背面に4×4のアンテナ素子で構成された、2つの大型アンテナブロックが搭載されている。

Intelの5G対応2-in-1 PCプロトタイプ。背面にアンテナアレイが搭載されている(クリックで拡大)

 Intelの最先端デバイス技術/通信/デバイスグループ担当ディレクターを務めるBaljit Singh氏は、まだ試作品の段階にすぎないことを強調しながら、「当社はこれまで、最適なフェーズドアレイアンテナの設計や配列について、多くのことを学んできた。アンテナアレイの1つのブロックで信号を損失した場合、ソフトウェアで別のブロックに動的に切り替えて信号を受信できるようにする必要がある。これは、解決できない問題ではない。現在、その開発を進めているところだ」と述べる。

 アレイごとのアンテナ素子の数や、配置するアンテナの数や場所(PCの側面なのか背面なのかなど)といった点については、まだ最適な解は見いだせていない。MediaTekは、「アンテナアレイが、電池とスペースを取り合うことになるのは避けられない」とみている。システム設計者たちは、このような情報を独自の知識として蓄積し、自社製品の差別化に活用したい考えだ。

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