成熟しつつあるモバイル市場を、再活性化するための取り組みの一環として、2019年には、タブレットとしても使用可能な折りたたみ式スマートフォンが登場するとみられている。
成熟しつつあるモバイル市場を、再活性化するための取り組みの一環として、2019年には、タブレットとしても使用可能な折りたたみ式スマートフォンが登場するとみられている。Samsung Displayは2018年7月、同社の折り曲げ可能なディスプレイが米国の安全性試験を通過したと発表し、長い間うわさされていたコンセプトを実現できる日が近づいていることを示した。
エンジニアたちはこれまで何年もの間、曲げられる(場合によっては転がすことさえできる)ディスプレイの開発に取り組んできた。新しいフォームファクタのモバイルデバイスを実現することにより、新たな市場を開いていきたい考えだ。
有機EL向けディスプレイドライバーチップを手掛けるMagnaChipのチーフエグゼクティブを務めるY.J. Kim氏は、「折り曲げ可能な有機ELディスプレイを搭載したスマートフォンは、広げると7〜8型ディスプレイとなり、4Kの解像度と120Hzのリフレッシュレートを実現できるとみられている。少なくとも10万回の開閉サイクルに耐えられ、価格は2000米ドル前後になるとみられる」と述べている。
Kim氏は、「もし、タブレットとしても使用できるスマートフォンの価格が1800米ドルであれば、自分なら購入したいと思う。今のところ、他にも同様の製品の開発が進められているという話は聞いたことがない」と述べる。
同氏をはじめ、「折り曲げ可能なディスプレイの商用化を実現する可能性が最も高いメーカーは、Samsung ElectronicsとLG Electronicsだ」という声が多く上がっている。両社とも、このようなディスプレイを自社のスマートフォン向けとして確保し、ドライバーICを自社開発するのではないかとみられている。
両社をはじめ、Microsoftの「Surface」グループなどを含むさまざまな企業が、長年にわたって、時に粗削りな試作品を秘密保持契約に基づいて披露し、“折り曲げられるスマートフォン”というコンセプトに対する熱意を高め続けてきた。最近、日経新聞が報じたところによると、Huaweiは、Samsungを打ち負かすべく、中国BOEのフレキシブルディスプレイを採用した折りたたみ式スマートフォンを市場投入する考えだという。ただし、BOEのフレキシブルディスプレイ供給量には限りがあるようだ。
中国のZTEは2017年に、2つのディスプレイを連結させた、折りたたみ式スマートフォンを発表している。このデバイスは当初、賛否両論の評価を受けていたことから、折りたたみ可能であるという目新しさはあっても、市場けん引力はほとんどないということが示された。
英国の市場調査会社であるIHS Markitのモバイル部門担当主席アナリストを務めるWayne Lam氏は、「間もなく5G(第5世代移動通信)が本格的に実用化されることから、2019年には何らかの成果が期待できるだろう。このため、既に大きな飛躍を遂げた企業にとって、何か新しいものを投入しない手はないといえる。折り曲げ可能な小型ディスプレイであれば、スマートフォンとして使うことも可能だ」と述べる。
MagnaChipのKim氏は、「1800米でも、折り曲げられるなら、ハイエンドスマートフォンや高性能タブレットに比べれば相対的に“割安感”が出るかもしれない」と述べている。
Samsungは、ガラスではなくプラスチックで覆ったスマートフォンディスプレイを披露していることから、軽量化と丈夫さを実現したスマートフォンを、市場投入する可能性が高いとみられる。
Gartnerによれば、2017年第4四半期(10〜12月期)におけるスマートフォンの売上高は、前年比で初めて減少となったという。IDC(International Data Corporation)の予測によれば、スマートフォン売上高は今後5年間で成長率2.4%で増加していくという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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