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“衛星IoT”市場が創成期、新興企業も次々と誕生セルラー網の拡大などに向け

“衛星IoT(モノのインターネット)”がまさに、軌道に乗ろうとしている。十数社もの新興企業はそれぞれ、セルラーネットワークが届かない遠隔地のノードの接続に向けて、今後数年間で最大200基の超小型衛星(ナノサテライト)を打ち上げようとしている。

» 2018年08月15日 11時30分 公開
[Rick MerrittEE Times]
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 “衛星IoT(モノのインターネット)”がまさに、軌道に乗ろうとしている。十数社もの新興企業はそれぞれ、セルラーネットワークが届かない遠隔地のノードの接続に向けて、今後数年間で最大200基の超小型衛星(ナノサテライト)を打ち上げようとしている。

 米国の市場調査会社GartnerのアナリストであるBill Ray氏は、「現在、軌道上には1500基の商業衛星があるが、今後5年間で1桁増となる見通しで、その多くはIoT向けと予想される」と述べている。Ray氏によると、「多くの企業は資金調達の初期段階にあるが、実証実験の段階で400万〜500万米ドルの資金を調達し、最初の数基の打ち上げ準備が整っている企業もある」という。

 商業衛星は、かつては高い対地同期軌道上に大型で高額の衛星を打ち上げていた。超小型衛星によって、業界は再び活気づこうとしている。超小型衛星の重さは最大7kgほどで、地球の上空約480〜800kmの低軌道に打ち上げるため、コストは100万米ドル以下に抑えられる。

 超小型衛星のIoTサービスも、数少ない既存衛星のIoTサービスと同様に、幅広いセンサーやエンドノード、ゲートウェイ向けのソフトウェア設計にしのぎを削っている。衛星通信業界は今後数年間で再編成されると予想されるが、その中で存続できるパートナーを獲得できれば半導体企業やシステム企業にとっても好機となる。

 オーストラリアの衛星通信企業であるSky and Space Globalは、1億6000万米ドルを投じて軌道に乗せる予定の200基の超小型衛星のうち3基を打ち上げた。同社が打ち上げたSバンドの衛星は、まったく新しいメッシュネットワーキング技術を使用し、IoT以外にも多くの用途への活用が期待される。

 スイスのAstrocastは5000万米ドルを投じて2021年までに64基の超小型衛星を打ち上げる計画で、2018年秋に最初の打ち上げを行う予定だという。米国の新興企業であるSwarmは、小さすぎて追跡が不可能な数基の衛星をインドから打ち上げたとして、米国の規制当局にとがめられたと伝えられている。

 オーストラリアのMyriotaでCEO(最高経営責任者)を務めるAlex Grant氏は、衛星をIoTのエンドノードに直接接続することを目指しており、「われわれはまだ、衛星IoTの初期段階にいる」と述べている。同氏は、「複数の企業が宇宙空間にインフラストラクチャを構築しており、ゆくゆくは何億台ものデバイスの市場が創生されると期待される」とも述べている。

 Myriotaは、既成品のUHFトランシーバーに独自のファームウェアとアルゴリズムを搭載した、バッテリー寿命が5年間で販売価格が50米ドルのモジュールを設計した。同社は、2018年中にセンサーメーカー向けにモジュールを設計する計画だという。

50米ドルのモジュールを掲げるMyriota CEOのAlex Grant氏 出典:Myriota

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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